存在しない諸星大二郎漫画の夢

食事に出ている。どこかの二階のような場所で、大学のサークルか何からしきグループと隣接する。学祭の準備みたいなことをしている。会話になり、京都にいたというと、同じく京都に住んでいたという眼鏡の男が出てくる。

彼は「朝鮮とかに興味はありますか」と言いながらスクラップブックを見せてくれる。彼は「髭剃りはけしからん風習だ」と不満をいう。彼は三国志の英雄のような髭に憧れがあり、髭文化に尊敬の念を抱いているらしい。彼のスクラップブックは私には直接役立たないが、面白い。

スクラップブックを前方にめくると、漫画が何ページか続いている。それは諸星大二郎の漫画のような雰囲気で、「未開の人種の集落」のような場面を描いている。女の生け贄が男に連れられて行く。女はバクかラクダのような動物の頭の皮を被せられており、下半身は裸である。四つん這いで歩かされていて、陰部に杖のようなものを挿されている。そういう儀礼上の恰好である。

別の男が「合コンもした仲じゃないか(止めよう)」などといって、生け贄を連れて行くのを止めさせようとするが、止まらない。生贄を連れてきた男は、怪物(神として扱われているらしい)の小屋の中に入ると、怪物にひれ伏し、生け贄を連れてきた旨を伝える。しかし怪物は生け贄を拒否し、必要ないと断る。しかし、男は生け贄を置いていく。怪物は、お面を被った人間か、それかトロールのような感じである。人間性があるようにも感じる。

生け贄の女は怪物に身を捧げようとするが、怪物はいら立ち、「食べるのめんどくせえんだよ」「どうせおまんこは腐っている」などといって生け贄を拒絶する。怪物は外のハンモックで寝てしまう。夜である。女は復讐心を抱いたのか、あくまで生け贄の使命を全うしようというのか、別の男の助けを借りて怪物の真下に忍び寄っていく。そこでカタパルト様の装置に自分を固定させ、怪物に向けて射出させる。

ナレーション「しかし女は怪物をちぎり取ることはできず、落下して別の女の棺に激突した」女は手足を失うなどの障害を負ったらしい。この女は、後に民族が戦争に出向く場面で、未亡人のような雰囲気で戦列の中に再登場する。

私は漫画に魅力を感じ、その本を買おうとする(いつの間にか本屋になっている)。が、値段を9000円と言われて躊躇う。同じものを既に持っているような気もしてきて、やっぱり買うのはやめる。すると、レジにいるのは漫画の中に登場した女その人であり、「この悪魔、これっきりだもんね…」と残念がる。その漫画を買ってしまっていたら、悪魔に取りつかれる羽目になったということだろうか。