泥の大黒さまの夢

農場にいる。バイト先のようである。廃屋の屋根から大きな板が垂れ下がって、坂のようになっている、という感じの坂を登る。植物が這っている。泥でできた大黒さまのような像の残骸を見かける。私は写真を撮りに来たようだ。「農場の人に許可を取っておくべきだったかな」と頭の隅で思う。

坂の天辺で、板は垂直に垂れ下がっている。そこを飛び降りると、廃屋の屋根に着地する。前方には大きな岩肌があり、岩肌に半ば埋まるようにして、仏教的な大聖堂がある。あるいは、何か神秘的な出来事や物があったのだが、思い出せない。ここは聖地、死地の類であり、禁足地である。私は正面から写真を何枚か撮る。

命を捨てに来たような黒人の青年がいる。急に画面はペイントソフトに切り替わり、彼の肌を塗るには緑を塗って、その上に乗算で茶色を乗せるのがいいだろうか、などと操作する。画面は元に戻る。この青年は、誰かに「待って」と止めてもらいたくて、この死地までやって来たのだという。彼は寂しげに、諦めたように歩いて行く。私は「待って」とは言えずに、彼を追いかけようとする。道端のL字型の角に泥の塊がどちゃっと落ちてくる。それは泥でできた布袋さまであり、生きていて、歩きだす。道の向こうから、同じく泥の大黒さまや、石材でできた弁財天のようなものもやって来る。事態は明らかに異常である。禁を犯したために土地の異様なものが動き始めたのだ。

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青年は門をくぐって墓地に入っていったようだ。気付けば門は締め切られている。門には張り紙が張られており、そこには墨で「こんな事態を引き起こしたのは誰か!」と怒る文言が書かれている。大聖堂の方に戻ってみると、大聖堂は爆破解体され、今しも火花を上げているところである。私は驚きつつも写真を撮る。人が大勢いる。

古い駅舎のような、フェリーの待合所のような土地の施設に人が集まっている。私のデジカメは見咎められ、「ここで撮ったものを持ち出させるわけにはいかない」としてデータを消されそうになる。私は「プライベートな写真が入っているから、自分で消させてくれ」と食い下がる。それは許されるが、果たしてどうするべきか葛藤する。

コメント

  1. totsukakodama

    大黒様が動いているあたりのタブー感はかなり強く、諸星大二郎漫画の雰囲気。二次元グラフ的な前半の動き方も面白い

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