創作談義の夢

映画を見ている。タイトルは「千と千尋の神隠し」のようだが、内容はクレヨンしんちゃんの劇場版のようだ。しかしクレヨンしんちゃんではない。主人公は子供である。

子供だけが家にいるときに火事が起こる。両親はそれを知らない。子供はどうするのか、どうなったのか?(映画のクライマックス)

映画について弟と語り合う。食事の席のようであり、車の中のようでもある。母と父もそばにいる。

僕はこの映画を観るのが4回目であり、地元の友人たちと観たりしていることを説明する。そんなに何度も観ているのに、今度も「火事の場面がどこで来るか」を忘れてしまっていて、そのためクライマックスに引き込まれた。僕はこれが構成の力によるものであると語る。

弟はいつになく熱心に語り、「ダイナミズム」という言葉を何度も繰り返す。例えば「ダンジョンめし」において、センシが軽視していた異国のビールをライアンの勧めによって飲むに至り、感動する場面のような(現実にはない場面)、そうしたダイナミズムが火事の場面にはあるのだと。

僕は弟の言わんとすることがいまいち分からず、さらに掘り下げつつ自分の説に合流させようと口を開く。目が覚める。自分の続く台詞は「君の言いたいことは、センシとライアンのそうした関係性が柔軟な展開をもたらし得るようなものである、つまり二人の作中での関係がダイナミックだということであり、話そのものがダイナミックということではないのではないか?」だったと考える。

男の声、東南アジアの文物の夢

おそらくは実家の部屋(ただし実在しない)で過ごしている。もうすぐ出かけるところ。

何か寿司の漫画(夢中では「すしの平次」と認識している)とキヨハラくんとナニワ金融道と男塾を混ぜた漫画を読んでいる。それを渡される時、知らない男に「それを読んでいると『男の声』が聞こえてくる。比喩じゃなく耳に聞こえてくる」と言われており、読んでいると実際、終盤に「わっせ、わっせ」のような幻聴が聞こえ始める。耳鳴りのような、疲れている時に聞こえる音。

ラストは、ナニワ金融道の絵柄で三世代の家族が次々にベッドインする。祖父世代は祖母が「NG」と言って断られてしまう。そこで場面が変わり、冒頭に出てきた若い女性が黒人男性とホテルにいる絵が描かれて、それが天丼のオチになる。

面白かったので、部屋にいる知らない男(さっきのとは別人?)にも読んでみるように勧めると、男はこれから用事があるようで、辞退して出ていく。

テレビがつく。オダギリジョーのような男が作務衣姿で帰宅する。格式ある和風の家で、妻は玄関に正座して出迎える。妻はわくわくしながらお土産を期待し、「その包みは?」と訊く。しかし男が持っているのはいつもの砥石と自分用の醤油であり、お土産はない(碁盤も持っているように思われる)。妻は大きなおにぎりを差し出す。

そのおにぎりを夕食のプレートに載せ、男は醤油をたっぷりとかける。しかし掛け過ぎたようで、しょっぱさを堪えながら食べている。彼こそが公安の仮面ライダーであり、これから東南アジアの文化財をモチーフにした敵ライダーとの戦いに巻き込まれていく。OPが始まる。

OPでは、アマゾンズのような、タイバニをライダー化したようなライダーが登場する。隣で見ていた父がその名前を指摘する。僕は「知っているんだ」と意外に思う。母も一緒に見ている。(二人とも現実にはそういうものは見ない)

敵ライダーのモチーフとして、見たことのない東南アジアの文物が現れる。それは円筒形の素焼きの壺を壁一面に積んだような格好で、一つ一つの壺に西洋風の技法で絵が描かれている。その色は鮮やかで、特に水色と黄緑が印象に残る。題材はモダンで、「白い帆を立てたヨットが湾に浮かんでいるのを林の中から見た風景」などがある。西洋の絵皿のようである。それでいて、全体としてはエジプトを連想させる。

父母に「これは何だっけ」と訊いたところ、「ス××××××××だろ」と返ってくる(×部分は忘れた)。訊いたことのない国の名前だ。「これは調べてみよう」と思う。これをモチーフにしたライダーとなると絶対に面白そうだ。

10円玉の半券の夢

実家にいる(中学校の頃住んでいたような部屋)。PCにゲーム機を繋いで何かしようとしている。あるいは漫画作業の準備かもしれない。なぜだか、その部屋にあるPCを触ると居間にあるモニタが反応してしまう。居間にはテレビとPCを組み合わせて積んである一角がある。

母が言うには、弟が生前に何か調整していたから、そのせいかもしれないと言う。弟は病死したのだが(現実とは違う設定)、いつどうやって死んだのかいまいち思い出せない。

場面が変わり、コナンのような漫画の中の話になる。クッキングパパを劇画風にしたようなゲストキャラの刑事が主人公の回らしい。刑事は、海の家とか縁日の時に野外に出される円テーブルのような席に付いている。時刻は夕前か夜である。金髪でけばけばしい服装の女性と話している。この女性が聞き込みの対象のようだ。

刑事は女性に、お金を増やす方法を見せてやると言う。刑事は何十枚かの一万円札を取り出し、手品師のように滑らかに扱う。そして屋台の方へ行き、ボディーガードを5人手配してくれと言う。そうして差し出した手の平から一万円札の束が瞬時に消え、手の甲側に移っている。そのまま裏拳のような恰好で一万円札を渡す。屋台の男は枚数を数える。刑事はここで「今何時だい?」のようなことを言ってごまかす気なのだろうか。

特に何事もなくボディガードは雇えた。刑事は自販機の前に立ち、10円玉を機械に次々と投入する。

「小銭がやたらと余ってしまう時はよ、10円玉の半券を貰ってるんだって思えばいい寸法よ」

と刑事は言う。つまり、持っている10円玉を自販機に投入して何かすることで、10円玉を二倍に増やすことができるらしい。半券は、その半分をもぎ取られることによって、「入場する」という本来欲しかった機能を手に入れることができる。半分だが一枚分の機能があるから、二倍に増えたようなものというわけだ。

刑事たち一行はバスに乗り、日本の城郭のような観光地か、はたまた先祖のゆかりある地に向かっていく。観光ツアーのような雰囲気。刑事は何らかの血族の一人で、これから遺産争いなどが展開されるのかもしれなかった。

松の木の上にメカメカしいエイリアンのような、電気コードで構成された子供大の胎児のような、フクロウのような妖怪が立っている。それは刑事のところへ下りてきて、耳元に「それでよい、そのように進めろ」のようなことを囁く。刑事の行動に関しては、このエイリアンが糸を引いているらしい。そして刑事は大筋でそれに従ってきた。その理由は「妹を守るため」とかの漫画的なものかもしれない。この会話の背景は石垣である。

だが今回、刑事はエイリアンに反旗を翻すようだ。エイリアンと刑事には力関係に大きな差があるわけではなく、あくまで互いに協力者のような形であるらしい。エイリアンは「後悔するぞ」のような捨て台詞を残し、いったん離れる。

時間がバスの中に遡り、刑事が妹に話しかけている場面が挿入される。

マーラの夢

自室で横になって夢を見ている。「伝説の剣を手に入れる」といった内容を含んでいて、これはいかにも民話らしいから、たぶん「赤の書」の影響であり、作為的でうさんくさいとともに、メモを取れれば面白かろうと思う。

夜の自室にいる。息子(現実にはいない)が隣の部屋でGと何か話している。自分は子供が苦手なので、かねてそうなるだろうと思っていた通り、息子との関係に不全感を覚えている。もう寝るところだが、息子は健気にも自分に話しかけてくる。問うて曰く、そのような姿勢の寝方をする理由は何かと。僕は布団に肘をついて頭を支え、本を読んでいた。

「色々な考え方がある。肘の可動域の問題が一つある。曲がる方向がこうだから(といって肘を動かして見せる)こうなる、という面がある。そして今は片肘だが、両肘を付いてもいいわけだ」

言いながら、長すぎて理解しにくいだろうなと思いつつ、

「もちろん、肘を立てるのは頭を支えるためというのがある。目的因。そして頭を支えなければならないのは、地面との距離を取るためだ。距離を取る必要があるのは、地面に本を置いて読んでいるからだ。本と目の距離がゼロだと人間は読むことができない」

目が覚める(夢中夢)。夜の自室にいる。Gは寝るところだが、まだ何か作業をしている。今、自分に息子がいて、それと話す夢を見たという旨伝える。Gは僕が作りかけていたゲームのマップをあしらった黒いシャツを着ている(スーパーマリオワールドのような、舞台となる島を表すマップ。現実に作っていたものとは異なる)。僕は何かのソシャゲをやりながらUI制作のヒントを得ようとしている。そのソシャゲで、フレンド支援のような機能をGと送り合う。

急に誰かがやって来て、Gが応対している。それは二人組の水道業者のような男たちで、水色の作業服を着ている。二人組とGは手分けして冷蔵庫の掃除を始める。それが必要な事らしい。

冷蔵庫はひどく汚れており、中に溜まっている汚水を流しに棄てようとすると、既に汚水がいっぱいで棄てられない。別の部品を濯いだ汚水がまだ流れていないのだ。

二人組は何か事務的なチェックを進めており、Gはその周りにいる。一体どういう文脈なのか、僕だけが分からないらしい。僕は二人組に「一体何のメンテナンスなんですか」という旨尋ねる。二人組は「分かってないということは無いでしょう」または「我々の口から言うのは憚られる」という態度で応えてくるため要領を得ない。しかし恐らくは、Gの肉体が機械であり、そのメンテナンスが必要ということなんだろうと見当が付く。そこで特にいさかいは起こらないが、「予め言ってくれれば良いものを」と自分は思っている。

目が覚める(夢中夢)。夜の自室にいる。目が覚める度、より遅い時間帯になっている気がする。部屋は暗く、Gは寝るところである。僕は「面白い夢を見たんだがね」と話しかけようとするが、Gは戸を閉める。僕はPCの前に移って、夢のメモを取り始める。が、途中でやはり話そうと思い至って、戸をこちらから開け、夢の概略を伝える。Gはそれを聞いた後、妙にテンションが高くなって、手元の物を叩きながら笑い声を上げたりしている。

Gの様子がおかしいので、さてはこれも夢だと気付く。

「これだから夢中夢は嫌なんだ。夢の中でメモを取ると、その取った分は大体忘れてしまう。今取っているメモも無駄になってしまうんだ」

僕が画面を見ながらそう言うと、Gは

「だから夢のメモなんて取らなきゃいいじゃん」

と笑いながら言う。否定的なニュアンスが満ちる。暗い部屋に青い光が差し、その四肢や顔つきも黒く、直感的に悪魔(マーラ)的だと思う。

これが夢だと分かっているので、既に視界がぼやけ、自分が寝ている布団の感触が蘇ってきたように感じる。どうせ夢だと思って悪魔に抱き着くと、その肌は水が吸い付くようにまとわりついて、自分の皮膚と外界との境界が無くなったかのような感触を覚える。

そのまま少し沈み込んだような感覚の後、目が覚める。

地下のアパートの夢

実家(部屋は中学生の頃のよう)にいて、原稿をやっている。

母方の実家の2階のような部屋に移っている。隣の部屋から父が起き出してきて、出勤するようだ。僕は部屋で漫画を整理している。

友人の友人のアパートを尋ねる計画を立てる。部屋の見取り図を調べたり土産(ビール)を買ったりする。

cと一緒に行く。アパートに着き、エレベーターに乗り込むが、風変わりなエレベーターで、奥行きが細長く、床が階段状になっており、奥に行くにつれ高くなっている。

階数のボタンを押し忘れたと思って振り向くと(我々の目的地は4階だ)、髭を生やした、どことなく日本兵のような男(しかし現代人)がドアのところに立っており、何か戸惑っている。我々が間違って業務用エレベーターに乗ってしまうとかしたのだろうか? そんなことはないはずだ。エレベーターを知らない男なのか?

よく見ると、男はエレベーターの扉が閉まるライン上に立っており、このままでは挟まれてしまう。「挟まれますよ」のような内容で声をかける。別の、仕事で来た風の背広の男が二名乗り込んでくる。エレベーターは動き出す。(挟まれそうな男がどうなったのかは分からない)

上に動くと思いきや、エレベーターは下に動き出す。実は、このアパートは地下方向の階しかないのだった。目的の4階とは地下4階を意味していた。

地下4階に付くと、フロアは薄暗く、そこここにネオンの灯りが点っているかのようだ。仕事で来た風の男たちは、イギリスの探偵ものの刑事たちのように、立ったまま何かを話し合っている。それを尻目に、我々は目的の403号室を目指す。見取り図を見ておいたので位置はすぐ分かる。ところで僕は土産とは別にピザポテトを買っておいてある。

呼び鈴を押すと友人の友人が戸を開いてくれ、室内に入る。友人の友人(現実にはいない人物)はテンションが低く、ぶっきらぼうな感じである。部屋は普通の学生向けアパートのようだが、しかし広い。地下だからなのか。僕は「さすがに広いですね」と言ってみる。

壁際の床に座ると、足元から小さいゴキブリが走り出す(そういえば家主は害虫に悩まされていると常々言っていた)。僕は咄嗟に反応できず、それはすぐさま天井の方に移動する。「あ、ゴキブリの赤ちゃんだ。いま殺すんだった」と言う。目で追っていると、思ったより小さくない個体である。いや、友人の友人が立って、小さい方の個体は素早く叩き殺したのだ。つまり僕が目で追っているのは別の個体だ。蹴り殺そうと思い立つが、それをやって壁に穴を開けたりしてはまずい。

その個体が目の前の椅子(タオルか何かを掛けてある)に降り立ったので、裏拳で殴ろうとする。「イヤーッ」と掛け声をする。

枕を殴って目が覚める。

ネズミと牛とライオンの寓話の夢

教師風の男がネズミの家で夕食のもてなしを受けました。ネズミは???式とアラビア式のコースを用意してくれ、ネズミの兄弟たちはアラビア式を、男はもう一方を選びました。……

帰路、男は牛に出会い……自らの種族的進歩を着実なものとする「犬の道」を説くことで牛を説き伏せ、便宜を得ることに成功しました。

橋を渡ろうとすると、腹をすかせたライオンがいました。「ああ助かった。では、お前をあたしの???式コースにいただくとしよう」……

……目が覚める(夢中夢)。コタツに入っている。横に弟がいる。僕が「掛け布団にはなるだろう」とふざけて弟に体重をかけると、弟は避ける。

母がアパートの下の階に一時的に滞在しており、つい最近は一緒に観光に行くなどしていた。

……教師風の男は、先ほどとは逆にライオンに言いくるめられ、自分には種族的進歩も、その果てにあるはずのゴールの保証もないことに気付いてしまいました。

「もうそろそろお前の生徒も尽きてしまうよ、まだ諦めないのか?」

男は自分の生徒を一人ずつ差し出すことで時間を稼いでいました。ライオンは生徒を食べながら後を付いてきます。たとえ橋を渡り切っても、まだ家までは距離があります。

男は駆け出し、わき目もふらず走りました。ライオンがすぐさま追い、熱帯の夜の景色が風のように過ぎ去ります。角を曲がったところで、男はかつて殺したおびただしい数の人間の霊がひしめいているさまを思い浮かべました。男は殺人的な階層の出身だったので、それと比べれば、この島では相対的に上位の階層として扱われていたことになるのです。(完)

……目が覚める(夢中夢)。足の方に体重を感じる。弟が「敷布団にしよう」とふざけて頭を載せているのだ。しかし弟は死んでおり、実際はここにはいない。急に涙が溢れてきて数粒こぼれる。ソファに座っている母はそれに気づくか気付かないかといった風だ。

……目が覚める。しばらく混乱し、まだ下の階に母が滞在しているような気がした。