繰り返しの夢

(夢から覚めるとまた夢、の強力なもの。実際は実家の弟の部屋で寝ていて、基本、そこで目が覚めるところから始まる。全部で10~20ループはした気がするが、全部は覚えていない。ループの冒頭でリフレインの呪文のようなものが3フレーズほど流れる。
 あたまがあらた
 たじまにたしか
といった1フレーズで韻を踏むもの。)

目が覚める。階段を這って降り、リビングで母と話す。床の感触などから、これこそようやく現実だと思う。

目が覚める。トイレに座り、その冷たさなどから確かな現実だと思う。この時点で5~10回はループしたと感じている。

3Dゲームか何かの中。背中の大きく開いたロボットに搭乗してデバッグをしている。バグのため物のサイズ感がおかしく、一行(パーティらしきもの)は等身大の人間でありながらビルや屋根の上を飛び移れる大きさである。あくまでバグなので進行できるようにはできておらず、少し屋根を飛び移ると、もう次のビルへは登れなさそうである。迂回していって工房の中に入る。工房は石造りで、漫画家のラフ絵や版画の版木のようなものが沢山置いてある。それらの物品から好きなものを選び、持ち帰ろうとする。「どうせ現実にも同じものがあるのだが……」と思う(現実でも工房に勤めていると思っている)。このあたりで、これが夢であり、自分の意識が強く残っていることに気づく。気付いたことによって目が覚めていってしまうのが分かる。

目が覚める。4~5回は実家内の同じような繰り返し。目が覚めないのではないかという恐怖を感じ始める。

目が覚める。階下からワイパーをかけながら女性が上がってくる。その女性はいとこの名を名乗る、ビリジアンの服を着た昭和のレコード写真のような化粧の女性で、馴れ馴れしく近づいてくる。女の顔に手をつくと、ぐにゃぐにゃと変形する。「ぐにゃぐにゃするよ!」と言うと「別にいいじゃない」と返答してくる。

激しく頭を振ってみると目が覚めた。しかしまだ夢である。

皇帝への貢ぎ物の夢

学校の教室。テストが行われる。図で回答する問題などもある。

自分の机を運んで動かす。その時、手に持っていた何か四角いもので近くにいた男子生徒の腕を擦ってしまう。怪我にはならなかったが、その生徒が長々と話しかけてくる。彼はがっちりめの体格だが、スポーティではない。擦った右腕(向かい合って左側)を見せてくる。その肌は皮膚病で鱗のようになっており、体液か薬がにじんでいる。薬を塗ってテーピングする必要があるらしい。それで、少し擦っただけでもダメージが大きかったのかもしれない。僕は改めて謝る。

仕事で、骨占いの道具をRから渡されるが、自分に使える物ではない。それはバラバラにした背骨の節のような数個の骨である。

和風建築の一室にいる。仕事で皇帝への貢物を預かる。それは絹の布の束や、経典を入れるポケットが付いたランチョンマットのような布の束などである。絹の束は手ざわりがふんわりしている。職人から、骨占いの道具は使っているかと問われる。自分には占術の技術がないから、それは使っていない。

中国の皇帝のような皇帝に謁見している。謁見室には人間の二~三倍くらいの背丈の象牙の皇帝像があり、自分とその妻(現実にいない人物)はそれにひれ伏している。本物の皇帝はその裏あるいは部屋のどこかから覗き見ているのだ。妻が、託された貢ぎ物を荷物から取り出す。しかしその動作は雑で、単にその辺に置く感じである。布に包むなどの配慮もしていない。悪気はないものの、礼儀も行き届いていない。

床に置かれた貢物を僕がきちんと揃えたり数えたりしていると、妻が服を着替えて再入場してくる。その服は金か黄土色っぽい刺繍が前面にされた、黄緑がかった中国的な服である。ファッションを楽しんでいるようである。僕は遊びに来たわけじゃないと腹を立てるが、この任務がそもそも妻に託されたものであることを思い出す。僕は自省し、妻のやり方を妨げまいと考える。皇帝が妻を見初めたのだ。

僕は自分の任務について回想録風に考えながら、赤みがかった石板にギリシア文字のような字を書いている。

人影の夢

シェアハウス(現実にない)に逗留しているようだ。魔女に攻撃を受け、致命的な何かのルールを見破りながら逃げる(詳細覚えていない)。最終的に、父をかばいながら車に乗って逃げる。ある地点で、車も父も消滅させられてしまう。それらは何か別の姿に変えられたようだ。父を見つけるため、散らばった物品を一つずつ床に並べる。床に転がっていたフリスクを食べるが「あっ、これだったかも?」と思う(しかし多分それではない)。

中国製の緑色の箱が出てくる。その中には弟が折った折り紙が詰まっていて、幼少時に僕にあてたものらしい。誰か知らない女性にそれを見せながら、悲しくなって泣く。

シェアハウスに徒歩で帰る。ハウスの隣にラーメン屋があり、そこの店員の男性と歩く方向が同じだったため「ついてきてる?」と誤解されている。男性がラーメン屋に入る時、僕と道が分かれたので、男性はほっとして何か呟く。僕はそれに気づいて「も~違いますよ」と言う。

シェアハウスはウナギの寝床状になっており、壁に沿って長いベンチがある。ベンチや椅子、低いテーブルが多数並んでおり、ごちゃごちゃした喫茶店という感じである。ただしベンチやテーブルはほぼすべて木製で、ログハウス感がある。そこに十数人の若者が雑魚寝で暮らしている。

シェアハウスに帰るとほとんど人がおらず、照明も落ちている。「今日は誰もいないのかな」と思って自分の領域に行く。入り口を振り返ると、よく見るとそれなりに人がいる。「ああ、ボードゲームをしてたんですか」と言おうとする(が、声が上手く出なかった気がする)。

自分の領域のそばにモスグリーンの服を着た女性が座っている。それはサブカルっぽいマッシュルームカットで茶髪の女性であり、魔女のシークエンスにも度々登場していた気がする。敵意はないが特殊なキャラクターらしい。正体を尋ねると普通に答えてくるが、上手く聞き取れない。「喉のところでぱっくり切れて云々」「火事がどうの」というような話をしている。僕は、急須の化身か何かかと考える(蓋が開く=喉のところで切れる)。

その後、布を被って眠りにつく。すると床が沈み始め、ベッドごと暗い空間に落ちていく。そこは二段ベッドが縦横に積み上げられた空間で、子供のようなものがちらほら寝ている。全体的に木製である。その中をディズニーランドのアトラクションのように自動で通り過ぎていく。

時々、「この世を管理する一者」のような人影が辺りをよぎる。すると衝撃的な恐怖がこみ上げ「ヒエッ」と声が出る。

二段ベッドの空間から階段のある空間に出て、その上にボロボロの木の扉がある。それを手で破ると、古代遺跡のような造形の巨大な壁がある空間に出る。空間は暗く青みがかっていて何となく怖い。さらに進んで夜空の下に出る。月の中にも「一者」の影がよぎる。空の方にどんどん上昇していくと、星空や月が平面であることが分かり、それを突き破る。

そのようなことを繰り返して昇っていくと、やがて普通の町に出る。そこは緑のあるオフィス街で、川が流れており、真昼で、人が沢山いる。このあたりで通常の夢とは違うことに気付く。ショッピングモールの服屋に入り、すぐ出る。看板の文字などを覚えようとする(結局忘れた)。吹き抜けの小さなショッピングモールに入り、「ここは子供の頃に来た」と思う(現実には心当たりがない)。ずっとアトラクション状態で、自動で移動していく。

空港のような巨大な吹き抜けのショッピングモールに来る。そこで「これが明晰夢だ」と気付く。景色が異様に鮮明に感じられるためである。蕎麦屋の木の扉に「無許可ではNO」と書いた張り紙がある。そこにペニスを入れるとガリガリと振動しながら圧迫される感覚があり、恐怖を覚える。慌てて立ち去ろうとすると、モールの床に横たわり、再び床が沈んでいく。

最初と同じく二段ベッドの空間、階段のある空間を通り、木の扉を破る。FFっぽい何かのゲームの四天王っぽいキャラクターの巨大な像や、伝説のポケモンの像がある。それらを通り過ぎ、古代遺跡に出る。いずれもハリボテ感があり、「これらは見せかけだ」と思う。「一者」は出てこない。フリークライミングのジムのような、オレンジ色の壁に色んなものが埋め込まれた空間に出る。そこには無数の缶バッジが掛かっており、ポケモンや好きな同人作家の絵のバッジがある。上の方にスヌーピーの缶バッジが三つ並んで掛かっている。自分のではない手から何かのバッジを渡される。見るとスヌーピーのバッジだが、取り落としてしまう。

街までは行かないまま、徐々に目が覚める。

見積もりの夢

実家にいる。祖母に関して、Cからもらった見積もりを弟から見せてもらう。それは総額二千万といくらかの見積もりで、介護施設への送迎などの他、「mixiの日記を適度に削除して、沖縄っぽい雰囲気を無くす」「ユーザーから希望があったのでBGMを何とか風に編曲する」など、必要性の疑われる項目も含まれている。PCの知識が一定あれば、mixiは自分で編集すればいいし、ユーザーからmixiに寄せられた感想にすべて対応する必要はない。

だが、PC作業を自分がやるのかというと、やらないから外注することになったわけだし、Cにしてみれば、本業でないことはそもそもやりたくないだろうし、一括の見積もりだから、帳尻を合わせるためにそれらの項目が入っていることも考えられる。どうしたものかと思う。見積書は、父が着ているセーターのボーダーライン柄(紺と深緑)にモールス信号の要領で書き込まれており、僕はその服を掴みながら頭をひねっている。

人がプレイするゾンビゲームの画面を見ている。

大学のような場所。僕を後援してくれていた現実にはいない人物が、貴族の座を継ぐことになったらしい。彼は平安貴族と西欧風ファンタジーの合いの子みたいな服を着てキャンパスを歩いている。こちらには気付かない。

帰り道。Cがこちらに気付いていない状態で、「Aに会う」と言っているのがこちらに聞こえる。「ナルミ会」なる会を通して会うことになるだろうとのことである。自分を介してくれればいいのにと思う。

家に帰ればいいものを、うろついて喫茶店かどこかで作業をしようとしている。行き当たりばったりに路地をあるいていると、魚屋のバックヤードのようなところに入り込んでしまう。そこから表通りが見えるが、ガスボンベや箱に阻まれて通り抜けることはできない。店のおばちゃんが笑って「あんた、通れないよ」と言う。「そうですね」と言って少し引き返し、裏口から出る。その時、髪が少しほどけたので、外に出てから結び直そうとする。

そこに村人が集まりつつあり、「国語教育の必要性について」というようなことを話し合っている。「必要ない」という意見が多いようで、僕は反発したくなるが、口を出す立場でもない。なぜか髪がなかなか結べず、そこから動かない。

らんちゅうの夢

小学校の校外学習。中国に来ている。丘の中腹のガソリンスタンドで乗り物にガソリンを入れてもらう。が、ウッと苦しくなり、自分の口から水のようなものが噴出する。どうやらコミュニケーションの誤りで、乗り物だけでなく僕の体内にもガソリンが注がれたらしい。店員は「元気になるヨー」というようなことを言っている。そういう風習なのだ。僕は気持ち悪くなり、出先なのに丸一日はダウンだなと思っている。口の中に変な味がして、しばらく何も食べられないと思う。

何らかの屋内施設に来ている。フェリーの雑魚寝の客室をカラフルにしたような感じである。僕がタイムスリップしてきたと聞いたらしく、小学生のAが会いに来る。現在と異なり長髪で、僕よりもかなり小柄である。僕は現在の面影を探そうとする。

遊園地のアトラクションのような試練。次のステージに行くため、レーザーが仕掛けられている迷路のような道を進まねばならない。まず、レーザー発射装置が予告的に動くので、それをよく見る。そして、それに合わせて体を動かすことでレーザーを避けられる。当たると体がバターのように切れて死ぬ。少しは避けられたが、だんだん速くて無茶な動きをするようになり「これは死んだ!」と思う。

社会科の見学で原子爆弾工場に来ている。原子爆弾は巨大なディスコのボールみたいな球体で、それを止めておくためのポール(上下2本セット)が工場のあちこちにある。床にはテープでラインが描いてあり、職員は持ち場によって移動領域が制限されている。僕は関心を持って見ている。

別グループの生徒が教師と共に合流してくる。A(現在の)もいる。テープの隙間を縫うように奥(窓がある、2階より高い、外はビル街のよう)へ進むと、機械の裏にがらんとした空きスペースがある。そこに小さなスチール本棚があり、ゲストブックや職員が置いていった本などが置いてある。ノートを開くと、職員が描いたと思しき漫画がある。それはマリオの漫画で、手塚治虫が学生時代に描いたような古い感じであるが、丁寧で上手い。また、自分の名前が書いてある小さなノート(A6?)も出てくる。その名前はまさしく自分が書いたもので、中には自分が小学生の時に描いたと思しき漫画やメモがある。驚いてAや周囲に話すが、特に驚かれず、関心を持たれないようである。同様のノートはもう一冊出てくる。

場面が混ざり、家にいるかもしれない。整理中に押し入れから出てきたような小箱が見つかる。母から渡されたのかもしれない。その中には小さなノートが沢山詰まっており、すべて自分の昔のノートのようだ。それらは自分でしまっておいたものだが、忘れていたらしい。中から、イルカのスタンプ(実際に持っていたもの)を入れた箱も出てくる。それはくすんだ緑色の布が張られた中国製の箱であり、中は赤い布が敷かれており、そこに朱肉とイルカのスタンプが入っている。スタンプの蓋を開け、また閉めるが、向きを間違えていて上手く閉まらない(図柄の形=蓋の形になっている)。図柄は蓮の花のようにギザギザしている。ので、図柄を見て、向きを合わせて閉める。その時「今は図柄の象徴を正しく理解したため、正しく閉めることができる」という解説が入る。僕は「嘘つけ、開ける前はちゃんと閉まってたよ(しまう時点でちゃんと閉めてあったろう)」と思う。

弟が水槽を持っていて「変なものを見つけた」という。その生き物は元々普通の金魚だが、頭から黄色い寄生生物のようなものが飛び出た状態になっている。昔住んでいたマンションの北側の部屋に水が満たされていて、緑色のプールみたいになっている。そもそもそこは長らく放っておかれたので、生き物はいないはずである。だが、そういうものがいた。僕は大きな空の水槽を手にして、その生き物を池から掬い上げようとする。生き物は、寄生生物うんぬんではなく、単に大きならんちゅうということになっている。らんちゅうはジャンプ力があり、うまく掬っても飛び跳ねて逃げてしまう。しばらく格闘した後、最終的にプールの水を抜くと、色とりどりのらんちゅうが大量に打ち上げられて積み重なる。50匹はいる(覚醒後の概算)。成魚とおぼしきは、どれも両手を合わせて作った球ぐらいの大きさである。ウミケムシのような毛を持ったやつや、体全体がスパゲッティの塊のようになっているやつもいる。弟は興味深く観察している。僕も感心する。母が父を呼んでくる。父は「野生種なのかなあ」と言いながらやって来るが、やはり実物を見て驚く。

鉄板の夢

実家のリビングにいる。夕食はホットプレートを使うものらしく、準備が始まっている。

我々家族は旅行帰りらしい。父が台所に行って何か飲み物を飲んでいる。僕も何か飲みたいと思って冷蔵庫を開けるが、飲み物だと思った容器が調味料だったりして、欲しいものが見当たらない。「ここにあるよ」などのサポートは家族からは得られない。若干不満に思うが、そこまで不満には思わない。飲み物はまあいいやと諦める。

テーブルで食事が始まっている。ふと、さっき鉄板の上に自分のヘアクリップやメガネを置いていたことに気付く。メガネやヘアクリップは置きっぱなしのまま食材に混ざり、プラスチック部分が溶けてしまっている。あわてて箸でつまんで引き上げるが、完全に駄目である。「ちょっと試しに」と思って自分で置いたものだが、ここまで溶かすつもりはなかった。よく使う道具だったので悲しくなる。母や弟は「あーあ」というくらいのテンションで見ていて、驚いたり嘆いたりはしない。他人行儀というよりはむしろ楽な距離感だが、違和感はある。

さらに鉄板を見ると、クリアファイルとそれに入ったタオルや書類といったものが食材の下に置いてある。これは僕のものではなく、母か弟が置き忘れたものだろう。「置き忘れてるよ!」と二人に言う。特に二人が慌てるということはない。

リビングを離れ、トレイに何かをセットして本棚にしまってやる。(よく分からないが、新しく導入された器具をセットしているらしい)僕のこの場での様子は家族と少しずれていて、何か妙にナイーブらしい。僕は「ともかくこの後、弟の死についてあれから弟がどう考えてきたか、訊いて話し合いたい」と思う。その瞬間、リビングにいる弟と既に死んだ弟がイコールであることに初めて気が付く。既に死んでいるその当人なんだから、話し合うことはできない。ナンセンスなことを考えてしまったのが可笑しく、情けなくもあって、激しく笑う。リビングから「不気味な笑いだ!」と突っ込みが入る(「めしにしましょう」風)。

水面を下から見る夢

仰向けに寝ている。水面を下から見た時のように、頭上の面に景色が映っている。その景色は晴れた野外で、高架線のようなものが左側にある。スプラトゥーンのゲーム内に出てくるような晴天。

自分は腕をその水面に突っ込んでおり、腕はそこから抜け落ちようとしている。「これは夢から覚めようとする時に入る空間だ」と思っている。身体は麻痺しており、水中にいるように冷たい。身体のスケール感が変に大きく、高架線の高さは自分の横にあるコタツの高さくらいのようである。

そのままうつらうつらしていると、弟の名前を呟く、母の押し殺した声が聞こえる。長居するんじゃなかったと思う。