強盗女衒の夢

夜のアパートの外壁。半裸の女性が首を後ろから掴まれ、窓の外に身を押し出され、突き落とされんとしている。刑事ドラマの冒頭のようだ。蚊が飛んでいるのが目につく。「『蚊に強い窓』……とあたしは思った」とモノローグが入る。女性視点で進行する。

突き落とされるかと思ったが、突き落とされず、女性は部屋の中に引き戻された。室内は暗い。首を掴んでいたのは強盗めいた屈強な男、あるいは長身の女である(設定ブレ)。脅しつけるために突き落とすふりをしていたらしい。女性は死の恐怖に怯え、強盗が要求を口にするのを待っている。

強盗は「スーツを売ってくれ」という。女性は戸惑いつつ、クローゼットからスーツを取り出すが、それは男物である。女性は女装している男なのだろうか?(設定ブレ)女性は、これでは強盗の要求を満たさないのではないかと怯えつつ渡す。スーツのタグには夢見者の名前が書いてある。

向こうの部屋には、女性の同居人の男性が眠っている。強盗は「彼に危害を加えられたくないだろう?」と言外に脅す素振りをする。

強盗の目的は「女性にパパ活をさせる」ということだったらしい。女衒である。一定期間勤めれば、止めても構わないということだった。この場で殺されるかと思っていたところだったので、女性は「それくらいなら…」という思考になっていて、緊張がやや緩む。「相手と揉めた場合なんかは?」など確認するが、「その場合は普通に会わないようにして構わない」などと常識的な返答。本当に言っている通りなのだろうか?パパ活を始めたらどうなっていくのだろうか?このエピソードは全体の導入にあたるプロローグのようである。

強盗は引き上げるようだ。その前に、同居の男の部屋に入っていき、寝顔を見て興奮し始める。眠っている男は夢見者である。強盗は自慰を始め、野太い声を上げる。女性は止めることもできず、頭を抱えている。強盗は射精を果たして、引き上げる。

立体粉絵の夢

ふだんは実家にいて、今日は出かける日。シェアハウスに遊びに来ている。大きなアーケードの中にシェアハウス・ビルがあり、1階が成城石井になっている。店の周りには安く買えそうなマーケットができている。

室内でこたつを囲む。選挙に関するNHKの動画を見ている。有力者のしょうもない発言。その後VTR。何かで見かけて「気になってたやつだ」というタイトルのVTRだが、編集が極めてずさんである。イラレの画面をそのまま動画にしていて、バウンティングボックスが見えてたりする。想像を超えた雑さに「外注なんだろうけど、NHK……」とショックを受ける。

誰かが何かの課題に取り組んでいる。緑のカラーペンで書こうとしているが、出が悪くなっているらしい。床に描いて確かめている。「床いいんですか」と訊くと「まあ、あまり広範囲は駄目だけど」と返ってくる。用事もないので帰ろうとする。「じゃあまた、いずれ」「去年はいつ来てましたっけ、たしかイースターの時に。じゃあまたすぐだ(一か月後だ)」「はい」と少し会話。

駅に向かう途中に美味しそうな飲食店街がある。道行く若者が「ケムリクサ丼」について話している。この食品店街でいま流行っているとか。私は何か食べようと、店を見て回る。どこも美味しそうだが、丸ままのチキンを鉄板で焼いている店に落ち着く。そこでは好々爺といった感じの店主が丸ままのチキンを焼いている。いつの間にか、金属の箱を焼いている。せんべいの詰め合わせが入っているような、でかい銀色の箱。バイトらしき男二人を助手に使っている。金属の表面が溶け、浮いた皮膜のようなものを手で剥がしていく。助手は片手に手袋をしているものの、もう片方の素手のほうで箱に触っているので、私は驚く。意外と熱くない、本場の職人は手袋もしない、とのことだが、不思議だ。いつの間にか、薄汚いマットレスを焼いている。途中、道でマットレスをはたいて埃を落とすが、小石なんかも付いている廃棄品のマットレスで、「食べられないだろこれ」と思う。

さ迷っていると、粉絵の教室にやって来ていた。場所は古ぼけた小デパートの片隅という感じで、講座は途中である。講師が「臥薪嘗胆」の故事を述べながら、いばらの床のようなものを黄色の色砂で描いていく。それは腸の内壁かインスタントラーメンのぐねぐねのようである。講師は岩のジオラマに緑色の粉をまぶしていく。岩の上に仙人の庵のようなものが乗っている、水墨画的なジオラマである。土産物っぽくもある。講師は彩度の低い状態でいったんまとめるが、その上にさらに濃い色を思い切って置いていく。そして、明るい色との境目のところだけ、彩度の低い粉を少し残しておく。「私が最近気づいた描き方だ」と思う。部屋の隅で、ギャラリーの男が講師の技を褒めている。聴衆は数人のようである。いつの間にか、私が粉の袋を持っていて、描かされている。ギャラリーは「講師がやらないとなあ」と私を見下している。私は戸惑いながら深緑の粉をまぶし、不思議といい感じに針葉樹っぽく積み上がるが、所詮素人と分かってはいる。講師が整えると、針葉樹っぽい粉は普通に崩れてしまう。「そういう表現ができるようになっている粉」というわけでもないようだ。

講座が終わる。私は最後の方だけの飛び入りだったので、まさかフルプライスは取られないだろうと思っている。千円くらいだろう、と思いながら「いくらですか」と訊くと、「千円で良いよ」とのこと。「それくらいだと思ってました」と言いながら払うと、講師は苦笑いする。しまった、口に出すのは失礼だったか。講師は目盛入りの定規を示して見せる。「こういうのやらない?」という。「何でしたっけ、定規を顔の横に掲げて、距離と角度が分かれば、相手までの距離が分かるというやつでしたっけ」と私は言う。講師はさらに、通常よりも少し小さい50円玉を渡して、「それあげる」という。その50円玉は穴のところにレンズが嵌まっていて、そこから覗くと物が少し小さく見える。「ちょっと小さいものって高級に見えるでしょ?そうして身の回りの物を高級に見るための品」とのこと。そういう現象は確かにありそうだし、実際に高級に見えるので、これは面白い発明だと私は感心する。千円でこれを買ったと考えればなかなか悪くない、とそこらのものを小さくして見て回る。

電車に乗っている。窓からは超巨大なアーケードが見えるゾーンである。同行していた友人に「たまにはああいうところ(で遊ぶのも)いいかもなあ」と言うが、「いやそんな金ないだろ」と返ってくる。そこは高級店が集まる場所で、いうほど高級なわけではないが、デパートの上階の飲食店ゾーンより2グレード上くらいなので、我々にはあえて行く理由もないのだ。遊び方としても、巨大モールの高級版なので、どちらかというと「一か所で全部済む」というタイプのスポットである。しかし、イオンとかより3グレード上くらいなので、我々には行く理由がないのだ。