回転球おもちゃの夢

電車通学のため、阪急電車に乗り込む。車内は現実よりも広々としている。中学の時、やかましくて苦手だったクラスメイトが席で待っている。彼とは仲が良いらしい。

中学生の時住んでいた家のような家(そのものではない)。スチール本棚が並んだ父の部屋。青白い照明、くすんだ色のカーテン。父が「借りた本に間違えて書き込みをしてしまった」と笑って、机の上に本を置く。それは中国の民話を集めた大きな本で、動物図鑑くらいの大きさがある。その表紙に黄色のペンで「もうすぐ出る」と書き込んでしまったようだ(「出る」は出版する、世に出るの意)。同じものが2冊ある。その本が要るかどうか父に訊かれる、あるいは訊かれたらどうするか考えるが、特に要らないと思う。

疲れ切って眠る。

新しくはないデパートの一角で開かれているような古物市を見かけ、立ち寄る。棚5個くらいの小さなコーナーであり、他に行き場がなさそうな商品が並んでいる。僕の他に、初老の婦人の二人連れが商品を見ている。

眼鏡が色々ある。和風の装飾を施された、赤い重箱のような角ばった眼鏡。古そうな円眼鏡(実際に古い時代に作られたものかもしれない)。数万円の値がついている。その横にモノクルが置いてある。細かい作業をする時などに使う、眼窩に嵌めるタイプの拡大眼鏡らしい。興味をそそられ、実際に嵌めてみようとするが、売り物を装着してよいものかどうか迷ってしっかり嵌められない。値は3900円で、買おうかどうか迷う。

その横に、ピンポン玉くらいのサイズのゴム球のおもちゃがある。ギャグボールのように孔が透かし彫りに空いていて、中が見えるようになっている。中には高速で回転させることのできる機構があり、それを回しながらゴム球を持つと、ジャイロ効果のような力を感じることができる。

若い男の店員がやって来て「遊び方が違いますよ」と教えてくれる。正しい遊び方は以下のとおりである。ゴム球を専用の台の上に乗せ、内部の機構を回す。すると台の作用で回転にノイズが加わり、ゴム球自身も回転を始める。地球の自転にあたる動きだけではなく、ノイズによって動きがよれ、公転のような動きになる。そうなった時、内部の機構がLEDを光らせ、光の軌跡が図柄を描く。

さっそく専用台で回してみるが、動きがよれすぎて安定せず、なかなか上手くいかない。そこに小学生くらいの男の子がやってきて、球に興味を持ったのか、手を出してきて邪魔をする。男の子は内気なタイプらしく、一言も言葉を発しないと決めているようだ。可愛げはないと言える。男の子は球を地面に落とすなどした後、興味を失ってその場を離れる。

店員が「子供はしょうがないですね」と擁護するので、僕は「子供に何か期待することはないから気にしない」と答える。店員は「(一般的に言って)子供はここの物を欲しがりますかね?」と訊いてくる。万引きが発生し得るかどうかを気にしているらしい。

電飾的停電の夢

広くておしゃれな、美術展のような古書店に来ている。今日はセールか何かなのか、客が多い。そこはデッサン塾の先生が副業で運営していて、何かと試みているようだ。ふと棚を見ると日英対訳聖書が色々あって、欲しくなるが、棚が高くて手が届かない。

広い待合室のようなエリアに移動し、座る。そこで惣菜パンを食べながらゲームか何かをする。他人の少女が辺りをうろついたりしている。

誰かが横スクロールゲームをやるのを横で見ている。そのゲームは難しそうで、プレイしている人は上手い。しかしやがて敵にぶつかって死に、そのステージの初めからやり直しになる。
 
 
 
父と母と弟と旅行をしている。雨の中、駅で足止めになる。電車が動かないようだ。うどん屋や喫茶店は行列ができており、狭い待合室で座って待機することにする。

すぐ横に窓があり、そこから外を見ると、中くらいのビルが並び立つ商業エリアである。急に、照明を落とした時のような感覚がして、一つのビルの窓から明かりが全て消えた。

「停電かもしれない」

と呟く。一つの建物の明かりがまとめて消えるというのは、大元の供給が断たれたことを意味するように思える。恐らくこれから周囲の建物の明かりも消え始め、今いる駅も停電するだろう、と思えた。

しかし、そうはならなかった。周囲の他のビルでは電気が消えたりついたりし始め、異常が起きているのは確かだが、単なる停電ではないようだ。目に入る範囲のビルでは電気がめちゃくちゃに明滅し始める。珍しい光景なので、スマホで動画を撮ってみようと思いつくが、やってみると上手く操作できない。

弟はゲームボーイで何かしている。僕は描きかけている漫画のペン入れをボールペンでやっている。紙皿にお菓子が乗せられ、向かいの女性を経由して回ってくる。それはキャラメルのような飴のようなお菓子だが、特に食べたくないので断る。

疲れ切っていて、この後の旅程が思いやられる。何時間かバスに乗る予定だと思うが、そのバスも混むだろう。

行列が解消され始め、うどん屋の店内に通される。中はガラガラで、行列が出来ていたのは満員だったからではなく人手が足りないからのようだ。席に座り、僕は紙に「腕時計をはめている手」を描く。しかしこうしてボールペンで描いていても、そのままペン入れにできるわけではないから手すさびだな、と思う。

父と母と僕はテーブルに色々なパンフレットや書類を広げる。弟はゲームボーイを続けたいからと、席には付かず、壁際のベンチに座っている。テーブルを片付けて弟のスペースを空けると、弟が席に移ってくる。父が「仕事関係でデッサン塾の先生によく会う」という話をする。
 
 
 
雑誌の記事。モン・アミが名言を言っている。モン・アミは黒人の名俳優であり、頭頂部は禿げていて、耳の上周辺にだけ白い髪がまとまっている。すっきりとした細身の長身で、色付きのYシャツを着、若く見え、フォーマルで知的な雰囲気をたたえている。顔つきは白人的で、印象はあっさりしている。

挿絵とアメコミの中間のようなページ。ニット帽を被って緑のジャンパーを着た黒人ヒーローが描かれている。ヒーローは悪党に捕まってリンチを受け、「笑ってみろ」というような嘲りを受けて「ニッ」と笑う。その片目は白いガーゼの眼帯で塞がっている。「おい、それは『ニッ』の笑いじゃねえか」と悪党は憤慨する。それはヒーローの心が折れていないことを意味する。このヒーローはスペースコブラのようにタフだが、目覚ましいアクションやスタイリッシュさが売りなのではなく、暴力に笑いをもって抗するような精神的な強さが特徴なのだ。ヒーローはやがて、自転車に乗って去っていく(窮地を脱したことが暗示される)。
 
 
 
僕は雑魚寝のような場所で目を覚ます。足止めを食ったまま、駅で一夜を明かすことになったようだ。ただちに夢を思い出しながらメモを記そうとする。

「マチュラン・ピカールとその妻と旅
 彼はいう『努力が肝要』
 なぜか苛立たしい」

ここでスマホが落ちる。電池切れだろうか。辺りに充電器がないか探す。

木銀酸の夢

Gと近所のパン屋(実在しない)に来ている。フードコートのような場所の中にあるパン屋で、かなり人気らしく、混んでいる。いったん諦めようとするが、長居している人などが立ち去ったので座ることができた。近所付き合いのムードが漂っている。

持ち帰りでピザパンを買うことにする。焼けるまでの間座って待つことになる。巨大な電子レンジのような窯が客席に面して置いてある。それで焼くのかと思うが、奥にも窯があるらしい。待っているとなかなか焼きあがらなくて、どの窯で焼いているのかといったことが気になりだす。

何かのきっかけで近くに座っていたお爺さんaが話しかけてくる。話し慣れていないようで要領を得ないが、どうも木銀酸という精力剤によって自分に活力が戻ったという話をしているらしい。その話を詳しく聞こうとする。「近くの駅」というキーワードが出る。

別のお爺さんbと、近くの待合室に移動して話し始める。bはお爺さんというよりは若く、妻と一緒に来ている。bがGに対して馴れ馴れしい態度をとるので気にかかる。

「近くの駅」というのは今治にある駅で、こだま駅という名前らしい。聞いていくと、その名前はbがやっていた古い店の名前に由来するらしい。bがどこかに行き、その妻が続きを話す流れになる。

いつの間にか、そこは焼き場か何かの待合室のような場所であり、ここに来ている人は僕の父の死か何かをきっかけに集まった人々である、という設定になっている。僕は唐突に、「(家父長制的な)伝統的家族」に含まれない同性愛者や婚外子といった属性をもつ人にとって、葬儀は常に望ましい待遇が得られる場とは限らない、という問題のことを考える。

一旦目が覚めてまた眠る。

夜、自室。Gが出かけ支度をしていて、何かすごい勢いで出ていく。声をかけるとGは戻ってきて、何かをいきなりこっちに向けて驚かせてくる。それはドライヤーのようだった。鬼気迫った雰囲気なのか冗談なのか分からず、追いかけて玄関先で声をかけると、Gは「下まででいいから持ってきてくれ」と言う。外は暗く、紫色の小さな携帯照明のようなものが宙に浮かんでいる。

何を「持ってきてくれ」というのか分からず、後を追いながら何が要るのかを訊く。階段は現実より長く下に続いていて、いつしか人が大勢いるフロアに出ている。がやがやしていて夜行バスの待合所のようである。何が要るのかを重ねて訊いていると、「足で抜くやつ」と答えが返ってくる。何の話なのか依然分からない。

そこは精神科の待合所で、Gは急な異常を感じてここに来たのかもしれないと思う。何なのか考えてみようとするがよく分からない。夜であるにも関わらず沢山の人が待っている。

実家で整理する夢

実家。中学生の頃住んでいた部屋。そこに帰省して、服の整理をしている。服が補充できるので喜んでいる。

登校したり電車に乗ったりしている。

住んだことのない実家の居間。帰省しているようだが、高校生のようでもある。朝。弟は先に家を出て、僕もこれから出る。8時30分なので、8時31分の電車は見送って50分に乗るべきだな、と考えている。井上陽水の「人生が二度あれば」をかける。母は家事をしている。テレビでは天気予報が流れている。本棚の本を少し入れ換える。それは弟の部屋にあった本棚で、自分が持ってきた本をしばらくそこに置く必要があり、どういう置き方をするか思案する。自分のものはまとめた方が良さそうなものだが、装丁の似た本のところにばらばらに差し込もうとしている。

ゴルドーのコピー能力の夢

星のカービィスーパーデラックスの洞窟大作戦を弟とやっている。弟がカービィを、僕がヘルパーを操作している。ステージとステージの間のトロッコのエリアにゴルドー(無敵の障害物的な敵キャラ)が浮遊している。カービィがゴルドーを吸い込むことは通常できないが、今吸い込んでみたらなんと吸い込めた。しかし、飲み込んでコピーしようとした途端、カービィの全身がゴルドーのトゲに突き破られて即死してしまった。

それならば、カービィが口に含んだ状態からヘルパー側の操作によってヘルパー化したらどうなるか、と思ってやってみると、なんとゴルドーのコピー能力を持ったヘルパーを産み出すことができた。そのヘルパーはニンジャのコピー能力を持ったカービィを女の子化(でも一頭身)したようなジャスミン色のキャラであり、能力はよくわからない。「まあ、ゴルドーといえばニードルっぽいし、ニードルの能力はスーパーデラックスには無いから隠し能力なんだな」と納得する。

しかし、ドアをくぐるとヘルパーはタック(という泥棒のキャラ)になってしまった。

僕は実家の居間の床にタッパーを並べ、そこに梅干しを二個ずつ並べている。終戦直後のような食糧難のニュアンスが漂っている。これは貴重な食料であり、今日の飯だ。弟が来て、梅干しをたちまち掴んで貪っていく。「まあ、弟が育てた梅干しだしな」と思って特に止めはしない。プチトマトのように梅干しを鉢で育てるイメージが浮かぶ。

王の忠実な老臣が、王に有益なアドバイスをした後おもむろに倒れる。心臓発作か何かのようだ。王は「私が助ける番だ」という思いを抱いて応急手当に臨む。

明日からの合宿の準備のため、本屋に来ている。何か面白い本はないかと漁っている。読み切りの漫画が載った雑誌を読み始める。それは受験生の男女(階級が高い)が貧しい同級生に施しをする漫画で、最終的に階級の高い男は受験をやめ、独自の道を行くことになる。最終ページで男はアフロヘアーにおかしなTシャツを着た姿になっていて、唇を噛み涙ぐんでいる。「ダメでした」というオチのようだ。「60ページも使って無かよ」と思う。

他の本を眺める。クメール・ルージュの写真集やエジプト神話事典が目に留まる。棚に飲みかけのお茶のペットボトルが置かれている。「吼えろペン」のようなキャラデザの新作ゲームソフトも売られている。

母と父と僕が車に乗っている。あの山はなに山、あっちはなに山、というようなことを確かめに来ている。そこは伊勢原の山々に面したエリアで、辺りは濃いもやに包まれ、気温は低い。「このもやでは、そのうち熊に会うかもしれない。この辺で戻ってもいいだろう」と思う。

人生の節目の夢

引っ越しがあって荷物をまとめている。誰か知らない人物(しかし親しく、この夢で自分と同居していた人らしい)と話しながら。部屋はだだっ広く、荷物はほぼ出し終わったのか、既にまばらである。

別の階に住んでいた人物(高校時代のクラスメイト)がやって来て粗大ごみを置いていく。その中には僕が昔あげたコタツとコタツ布団が含まれている(現実にはあげていない)。僕が下宿を引き払う時にあげた布団が、さらにその人物も下宿を引き払ってここに戻ってきた形だ(もう棄てるけど)。それは僕の実家にあったコタツで、懐かしさのあまり少しくるまってみる。よく見るとそれはコタツの敷布団である(現実にはない物品)。

その人物は僕の昔のノートも置いていく(現実にはない物品)。それはエロ絵を描いていたノートに似ていたので一瞬ぎょっとするが、そのノートではなかった。表紙はピンクとオレンジのポップなもので、知らないアニメのキャラクターがあしらわれている。バザーで拾ったようなノートだ。中の頁にもやはり、忘れたようなアニメのキャラクターが鉛筆でまばらに描かれている。特にとっておきたいものではない。

自分と同居していたらしい、仏教の修行者のような人物がその弟子と話し合っている。教団が使っていた古い経文や図を捨てるのだが、誰かに拾われて読まれてしまうと教団の全貌が分かってしまうので、フォルダーに詰めてから捨てよう、などと話している。経文や図は、何かのお土産品を買った時に入っている紙のような感じで安っぽく、いかにもゴミらしい。だから捨てるのだろう。

京都の銀閣寺あたりに下宿があり、そこのことを思い出す。そこは下宿候補だったが、結局住まなかった。(現実にそのあたりに下宿していたが、それとは違う実在しない建物で、夢にしばしば出てくるものがある。そっちの方。そこは一つ一つの部屋の奥行きがロッジのように広く、2段ベッドのようなベッドがあちこちにあり、共同生活のための部屋になっている。コンクリートを切っただけのサッシの付いていない窓がある。そこには住まなかったパターンが多い)

別の場面。家の窓から、眼下に見える離れの部屋のベランダにゴミを置き、それを通りから取ってゴミ捨て場に捨てる、という習慣を持っていた(現実ではない)。しかし離れのベランダの手すりが壊れてしまい、ゴミが落ちたりしてトラブルになったらしい。警察官が事情を聞きに来ているが、深刻な感じではない。

別の場面。パーティ会場のようなだだっ広い場所にいる。人が曖昧にうろついている。僕は病弱なため歩きながら意識がとぎれとぎれになり、ついには床に倒れてしまう。周りは心配して駆け寄り、対処してくれる。そのようなことがいつも繰り返され、意識が長くはっきりしている時はついにないのだろう。

別の場面。僕はいつの間にか「ゼルダの伝説 ブレスオブワイルド」を買っており、それをプレイしていたのだった。そこはスキー場のようにだだっ広く、カービィの世界のような曖昧なフィールドが広がっている。全てが漫然としているが「面白い」という判断があり、確かに悪くない、などと思っている。