マーラの夢

自室で横になって夢を見ている。「伝説の剣を手に入れる」といった内容を含んでいて、これはいかにも民話らしいから、たぶん「赤の書」の影響であり、作為的でうさんくさいとともに、メモを取れれば面白かろうと思う。

夜の自室にいる。息子(現実にはいない)が隣の部屋でGと何か話している。自分は子供が苦手なので、かねてそうなるだろうと思っていた通り、息子との関係に不全感を覚えている。もう寝るところだが、息子は健気にも自分に話しかけてくる。問うて曰く、そのような姿勢の寝方をする理由は何かと。僕は布団に肘をついて頭を支え、本を読んでいた。

「色々な考え方がある。肘の可動域の問題が一つある。曲がる方向がこうだから(といって肘を動かして見せる)こうなる、という面がある。そして今は片肘だが、両肘を付いてもいいわけだ」

言いながら、長すぎて理解しにくいだろうなと思いつつ、

「もちろん、肘を立てるのは頭を支えるためというのがある。目的因。そして頭を支えなければならないのは、地面との距離を取るためだ。距離を取る必要があるのは、地面に本を置いて読んでいるからだ。本と目の距離がゼロだと人間は読むことができない」

目が覚める(夢中夢)。夜の自室にいる。Gは寝るところだが、まだ何か作業をしている。今、自分に息子がいて、それと話す夢を見たという旨伝える。Gは僕が作りかけていたゲームのマップをあしらった黒いシャツを着ている(スーパーマリオワールドのような、舞台となる島を表すマップ。現実に作っていたものとは異なる)。僕は何かのソシャゲをやりながらUI制作のヒントを得ようとしている。そのソシャゲで、フレンド支援のような機能をGと送り合う。

急に誰かがやって来て、Gが応対している。それは二人組の水道業者のような男たちで、水色の作業服を着ている。二人組とGは手分けして冷蔵庫の掃除を始める。それが必要な事らしい。

冷蔵庫はひどく汚れており、中に溜まっている汚水を流しに棄てようとすると、既に汚水がいっぱいで棄てられない。別の部品を濯いだ汚水がまだ流れていないのだ。

二人組は何か事務的なチェックを進めており、Gはその周りにいる。一体どういう文脈なのか、僕だけが分からないらしい。僕は二人組に「一体何のメンテナンスなんですか」という旨尋ねる。二人組は「分かってないということは無いでしょう」または「我々の口から言うのは憚られる」という態度で応えてくるため要領を得ない。しかし恐らくは、Gの肉体が機械であり、そのメンテナンスが必要ということなんだろうと見当が付く。そこで特にいさかいは起こらないが、「予め言ってくれれば良いものを」と自分は思っている。

目が覚める(夢中夢)。夜の自室にいる。目が覚める度、より遅い時間帯になっている気がする。部屋は暗く、Gは寝るところである。僕は「面白い夢を見たんだがね」と話しかけようとするが、Gは戸を閉める。僕はPCの前に移って、夢のメモを取り始める。が、途中でやはり話そうと思い至って、戸をこちらから開け、夢の概略を伝える。Gはそれを聞いた後、妙にテンションが高くなって、手元の物を叩きながら笑い声を上げたりしている。

Gの様子がおかしいので、さてはこれも夢だと気付く。

「これだから夢中夢は嫌なんだ。夢の中でメモを取ると、その取った分は大体忘れてしまう。今取っているメモも無駄になってしまうんだ」

僕が画面を見ながらそう言うと、Gは

「だから夢のメモなんて取らなきゃいいじゃん」

と笑いながら言う。否定的なニュアンスが満ちる。暗い部屋に青い光が差し、その四肢や顔つきも黒く、直感的に悪魔(マーラ)的だと思う。

これが夢だと分かっているので、既に視界がぼやけ、自分が寝ている布団の感触が蘇ってきたように感じる。どうせ夢だと思って悪魔に抱き着くと、その肌は水が吸い付くようにまとわりついて、自分の皮膚と外界との境界が無くなったかのような感触を覚える。

そのまま少し沈み込んだような感覚の後、目が覚める。

コメント

  1. totsukakodama

    久しぶりに原型的な印象のある夢。繰り返し構造が明確。恐らく自分にとって「目を向けたくないもの」が様子を窺うように小出しに出てくる。作りかけのゲーム、汚れた冷蔵庫など。「目を向けたくないもの」は男性的な姿で出てくることが多い(「虎」など)ので、女性的な姿で表れるのは珍しい。

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