アンドロイドの夢

実家に滞在して図書館かどこかに毎日通っている。それで道を歩いている(実在しない道)。「行だ」と思う。曇り空で、調子は何となく悪い。横断歩道の途中で足が動きにくくなり、一旦うずくまってしまう。が、立ち上がって渡りきる。

小説のテキスト形式に場面が移行する。その文章では、男が道路の真ん中に寝そべって、しかも轢かれない方法と確率について述べている。

「進行速度の20%が一つの目安となる。『道路の舌』と呼ばれる微小な起伏による車体の浮き上がりを利用し、まず20%。そこに運良く透明のデアデビル(と呼ぶことにしよう)が出てきて車を殴ってくれることで、最初の20%のうち30%を加算。それでやっと安定して20%を超えることができる。そこで男は、普段は健康上のリスクから口にしないことにしているある種の薬物を飲むことにした」云々。

その小説を実家の居間(中学時代の間取り)で読んでいる場面に移行する。弟がテーブルで新聞を読んでおり、「『事実』の表記が『R』になっている」と誤植を指摘する。僕は、この小説の面白さを弟と語り合いたいと思う。しかし弟は死んでおり、ここにいるのは心を慰めるために造られた一種のアンドロイドなのだ。なかなか自然な感じでそこに居て、結構良いじゃないかと思う。しかし泣きそうになる。

母が祖母を伴って現れ、「朝食はパンとベーコンと卵とどれが良いか」と訊いてくる。僕は「どちらかというと全部かな」と答えるが、時計は既に正午を指しているため「午後の展開にもよる」と付け足した。チーズケーキのようなものが食べたいと思う。祖母が僕の向かいに座り、祖母の隣には弟のアンドロイドがいる。祖母は何かを食べながら、「美味しい」と「便利」を取り違えたのか「これは便利だね」と言う。

アンドロイドが「『事実』の表記が『R』になっている」と再び言う。僕は「また言ってる。いや、誰も反応を返さないと繰り返し言う仕組みになっているのかな」と言う。アンドロイドは照れ臭いのかよく分らない表情とテンションで肩をすくめる。僕は「どうもこいつは***(弟の名前)と比べて姿勢が悪いな」と言い、試みに、アンドロイドの頭を撫でようとする。その感触がどんなものなのか、硬いのかぐんにゃりしているのか、少しドキドキするが、造り物ともそうでないものとも取れない微妙な感触だった。アンドロイドの後ろ髪は長く伸びており、「いまいちメンテナンスされていないな」と思う。

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