無意志カードの夢

映画。ヨーロッパの都市。孤児院から出てきたような女の子が街を歩いている。女の子は行く先々で妙に尊重されるが、本人はややしかめ面寄りの無表情のままで、意志がないかのようである。

私は少し前のヨーロッパの銀行のATMのような場所で、無意志カードを作る。専用の機械で、指紋か血液の認証のようなものを受けて発行する。窓口の人とやり取りする。無意志カードとは、人間としての何かを手放す代わりにタダで買い物ができる類の、社会SFっぽいカードであろう。

達観したような若い僧侶が、女の子(先程とは別)から相談を受けている。私は漫画を描いている。9つのグリッドが付いたパースのかかった塀を、正面から見た、パースのかかっていない絵に描き直す。すると、漫画として非常に分かりにくくなってしまったので、苦悩の末、再び描き直すことにする。

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描き直す内容はいつしか、ごちゃごちゃした倉庫背景の絵になっている。でかいミシンのような金属製の古い機械を描く。それは青く塗装されている。ポスカラでその青を描いていく。油絵のように、既に塗ってある部分に上塗りしていく。作業している場所はいつの間にか、その絵のようなごちゃごちゃしたガレージになっている。左側にシャッター(上がっている)があり、外は日が射して暖かい。

電車に乗る。赤い革のジャケットを着た男が登場する。彼は少しずれた男であり、体格はよくなく、顔は温厚で当たり障りなく、とんちんかんな動きをして怪訝がられる。電車の横長のシート(といいながらバスの後部座席に似ている)に女性二人が座っていて、そこにジャケットの男が乗ってくる。シートの右半分が空いているのに、なぜか男は女性二人を右によけさせ、左に座ろうとするなど、おかしな動きをする。私は別の席に座っているが、目の前にベビーカーを押した男が乗って来たので、席を譲る。私は隣に立った男に「一番右側の赤いジャケットの男は、おかしい」と話す。

車窓から街を眺める私、キムタクのような男はある種の能力者である。私の能力は「相手と自分の願いが同じだったときに、素敵な思い出を無数に作る」というものだが、その後能力界の勢力図が変わったので、この能力は誰かの下位互換になってしまった。

電車を降りる。一瞬、誰かの描いた漫画のページになる。ティム・バートン系のデフォルメのアマチュアの絵柄で、駅のホームと陰鬱そうなキャラクターが書かれている。ホームにある椅子か何かの土台の金属部分は、万線を入れた上にホワイトで無数に×が描かれている。テクスチャ処理かと思ったが、そのさまは作中で「血管が浮き上がっている」と呼ばれる。

同じホームで電車を乗り換えようとする。このまま実家にいったん帰ろうかと思うが、すぐ年末だから、今日のところは家に帰ろうと考える。アナウンスで自分の名前が呼ばれ、「落とし物のスマホを預かっている」という。私は慌てて駅員さんたちに声をかける。「すみません」と目の前で言っても聞こえないようなので、何回目かで大きく「すみません!」と言う。女性の駅員が少し驚きながら、応じてくれる。線路で作業中の駅員がカギを拾い上げる。私はカギも落としたのかと思うが、自分のカギはポケットの中にあった。

男性の駅員がやって来て、落とし物を受け取るための書類に記入してくれという。その書類にはふせんが何枚か貼ってあって、そこは指示通りに書いてくれないと困るという。「外出理由」の欄があり、「折角」のところにマルが付いている。住所欄には「中野区××(分からない)2-7」と書かれている。「私、葛飾区なんですけど…」と言うと、駅員に「だからぁー!(指示通りに書けよ!)」と凄まれる。私はこのようにして無意志に誘導されることだ、と悟る。

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