座敷の夢

何かの事情で過去にタイムトラベルし、閉鎖されたテーマパークを訪ねる企画に参加する。主催は男性の漫画家(現実には面識なし)と、当時はデビュー前だった女性の漫画家(同じく面識なし)と、あと一人くらいで、企画というか小さなオフ会のような感じ。

集合し、バスで現地に行く。テーマパークに入り、古い座敷に立ち入る。その大広間では天井が低く広く垂れ込め、薄暗く、オフィスの廃墟のようである。ここで人が死んだのか、大量の血痕が付いたパソコン台がある。それとは別に、熊に襲われたのか何なのか、人がここで死んだらしい。あるいは同行者の一人が目の前で死んだのかも。(思い出せない。後から挟まれたシークエンスかも)

別の事情で再びタイムトラベルすることになり、もう一回同じ企画に参加する。事情とは、自分の服のシワを描き直すとかそんな感じのメタな理由。

バスの中で男性の漫画家と雑談をする。「どんな雰囲気か分からないので何を着てくるか迷いました、結局思いきり普段着ですけど」「服で迷ったら、行く場所にいる他の人の服装に合わせるといいよ、仮に会にはそぐわなくてもその場所自体には合うから」云々。自分がタイムトラベラーであり参加者との出会いが2回目であることは特に隠さないが、突っ込まれもしない。

バスから降りた時、因果をいじってはいけないな、と何となく実感する。これが最後のタイムトラベルのつもりだったけど、実際最後にしよう。一度因果を操作してしまうと、無数の些細な偶然に支えられた現実というもの自体がばからしく思えてきてしまう。もう元には戻れない。

今回は未亡人の人が参加している。前回のタイムトラベルの時に見た死者の妻だった女性らしい。

テーマパークは大学の敷地内にあり、バス停からすぐ行ける。ただし早めに着いたので、どこかで時間を潰す必要がある。と、男性漫画家がバス停後ろの敷地にどんどん入っていく。そこは大学の畑であり、部外者が立ち入るのは少しまずいように思われる。その奥にテーマパークがあり、近道になるのだ。

入ってもまだ開いてないですよ、などと声をかけつつ、自分も後についていく。ふと斜め後ろを見ると、小型犬くらい大きいネズミのような白い毛の動物が生息していて、ツタか何かをかじっており、ぎょっとする。

そのまま座敷に入ってみる。今回は廃墟ではなくきれいに整えられた座敷だ。お寺のような場所。しかし、まだ開園前なのでかなりとっ散らかっている。天井は低く広く垂れ込め、薄暗い。が、中庭側からは光が入ってきている。大きなネズミのようなものがあちこちにいる。日々、係の人が開園前に全部追い出すのだろうか。

子犬や、平安貴族か鳥獣戯画のような格好の小さな人たちがいる。いや、人ではなく何か動物に布が引っ掛かってそう見えるだけだろう。あたりは静かで暗く、神秘的で、来てはいけない所に来ている感じがする。僕はスマホを取り出し、そこらの写真を撮り始める。狼のようなシベリアンハスキーのようなものもいる(ちょっと怖い)。その瞳は水色に光っている。幼い子供たちが大勢遊んでいて、保育園のようである。子供たちは走り回っているので撮りにくい。連写機能を使って撮るが、なかなかうまい絵が撮れない。

前回、血まみれになっていたパソコン台も撮る。と、未亡人の参加者が写り込んでしまう。その姿は幼い子供のようになっており、髪は長く、それも子供のような髪形。

「あ、すみません、撮ったわけじゃないです」的な言い訳をすると、その女性は笑って、それから亡夫の死について質問し始める。死の状況を知るためにこの企画に参加したのだろう。

「あれ(夫)も守られて死んでいましたか?」

返答に詰まる。何かをかばうとかかばわれるとか、そういう感じの死ではなかったはずだ。どう答えたものか。そもそもよく覚えていない。

そのまま目が覚める。

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