男児の夢

街を歩いて、待ち合わせ場所のヨドバシカメラを探している。ここまでは早く着いたのに、散策しながら歩いていたら時間ギリギリになり、やや遅れの見通しとなる。雨が降ってくる。一駅隣の駅で降りたらすぐ着いていたことが分かる。

誰かの部屋でAとカードゲームの対戦をする。Aは佐倉杏子デッキを取り出す。そしてもう一つ、別のカードゲームの佐倉杏子デッキも取り出す。どちらのデッキも裏面に杏子がプリントしてあり、先のデッキは茶色、もう一つのデッキは水色である。Aは「TRPGみたいなものです」と言う。無関係のカードゲームの杏子デッキを横で走らせることに対戦上の意味はないが、対戦にフレーバーを添えるということだ。ちょうど、こちらの使おうとしていたデッキも杏子デッキである。
 
 
 
おもちゃ屋のような古びた電機屋でスキャナを探している。ショーケース兼レジ台の奥にはバラエティ番組の司会のような雰囲気の男の店員がおり、愛想よく説明をしてくれる。店員が取り出してくれたスキャナはA4サイズであり、僕は「A4では小さいな……」と思う。読み取り面がかすかに斜めになっているところがポイントらしい。また、スキャナの一辺を掴んで引き出すと、引き出しのように読み取りサイズを伸ばすことができるようだ。

坊主頭の太った男児が右横に来て、僕を無視して店員に話しかける。店員は男児と顔見知りらしい。店員は「横入りはよせよ」という意図を含めて、男児を無視する。男児は反感を僕に向けてくる。僕はここだけ子供に戻ったかのようであり、男児と同じ土俵で睨み合い、どちらともなく胸倉を掴み合う。男児は「クラスにいる奴に似ている」などと言ってくる。ややあって、互いに矛を収め、手を放す。

男児とその妹は壁に貼ってあるポスターに注目し、そこにマジックで書いてある風のひらがなを読もうとする。その字は4文字であり、下手で、どうとでも読めるような感じである。

僕は大人でありながら男児と同レベルに争ってしまったことを恥ずかしく感じる。僕は自分の服(Yシャツ)のボタンが胸の中ほどまで外れており、はだけ過ぎていることに気付く。僕の胴体の肌には、さきほど貼り付けたタトゥー・シールが覗いている。そのインクは青色で、図柄は水族館のお土産のような感じで、Officeのイルカのようなイルカが含まれている。我ながらイケていない。

男児と僕はけいおんの話題を出したりする。僕は背負っていたリュックサックを開け、その中で何かを探す。カバンからいくつかの封筒が出てくる。それはお年玉袋のようであり、僕に対して与えられた何かの金銭が入っている。この場で出すには相応しくないので、再び奥にしまう。

リュックの中から透明の水色のスーパーボールが出てくる。男児の持ち物が紛れ込んでしまったのかもしれない。そのスーパーボールは一部へこんでいる。店員はいつの間にかデッサン教室の先生に変わっている。先生がボールを手に取ってみると、それはボールではなく、紐が通された円柱状の浮輪を模したガラスの飾りである。その中には、水時計に入っているような粒感のある水色の水が入っている。先生と男児は、それを抱えたり傾けたりして楽しげにしている。いつしかそれは、両手で抱えるほど大きいタッパーのような容器になっている。中の水は、幼児洗礼に出てくるような油を垂らした水のようである。先生はそれを床に置く。

店内の上の方に据え付けてあるテレビではバラエティ番組が流れている。その中に女児が服を脱ぐシーンがある。つげ義春のオンドル小屋の漫画のように、男児も含まれる中で服を脱いで雑魚寝するものらしい。「テレビだからきわどい映り方はしないだろうが、いずれにせよ保存もできないしな」と思う。
 
 
 
店を出て、電車に乗って食事に行く。先生と男児も同行している。男児は僕の左隣に座る。先生はやや離れたところにいる。僕が話していると、男児は「分かります、10歳を超えたら人間変わりませんからね」と応じる。誰でも、自分の立ち位置を基準に分かったようなことを言うもので、ちょうど自分の話していたこともその類である。僕は「僕が今からプロレスラーになるとかは、確かに無理かもしれないけど……いや、無理とも限らないが……うーん」と言い淀む。

降りる駅に着く。僕が「え、ここだっけ?」と言うと、男児は「ここで降りた方が近いですよ」と言う。男児にとっては地元である。僕は「いや、それは知ってるけども…」と決まり悪く言う。冒頭のヨドバシカメラの近くの駅である。

電車を降りて先生の姿を探す。先生は茂木健一郎になっており、遅れて現れる。茂木健一郎は僕を見て「傘は一体どこに?」と言う。僕は傘を置き忘れたことに気付き、慌てて車内に駆け戻る。似た傘が視界に入るが、自分の傘ではない。傘がいくつかまとまって掛けてあるのも見かけるが(忘れ物がまとめられているのだろう)、自分の傘は見当たらない。電車は動き出してしまう。

コメント

  1. totsukakodama

    男児は、以前虎などの姿で夢に出てきた「敵」と同じキャラクターに思える。しかし随分弱くなっていて、印象もあまり強くない。

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