直方体水晶の夢

マンション時代の実家。弟の本棚を見る。自分が置いていった本などが入っている。そこに直方体の水晶のお土産品がある。それはディズニー映画のグッズか、博物館のお土産品で、直方体のそれぞれの面にCGで古代生物が映っている。

触っているうちに操作方法が分かってくる。直方体の面を見ながら、辺のところを指で触ると、それがタップとなってコンテンツが再生される。生物ごとに違うコンテンツが入っている。音声も出る。

それぞれの面のコンテンツを確かめていると、父がノートパソコンを持ってやってきて、作業場があるのは悪くないな、と言う。

ある面では、海岸の地盤がいかにして山奥まで運ばれて地下に沈んだか、という説明がCGで流れる。化石の発見された地盤の話である。洪水が地盤を切り取って押し流し、山上で渦を巻いて沈んだのである。場所は秋田である。父方の祖母がそれに疑問を持ってきたので、どういう話なのかを説明する。

地元の友人にこれを見せていると、譲ってくれないかと言われる。しかし自分も段々持ち帰りたくなっていたので、断る。たぶん、映画に伴って売られたグッズなので、いま手に入れる方法はないだろう。

祖母の夢

夕方から何か用事がある。京都のような場所にいる。

時間が浮いたので、喫茶店のような、廃小学校のような建物に入る。そこの二階には医者か、教師がいて、真面目そうな良い雰囲気である。私はかねてから疑問に思っていたことを教師に訊く。教師は黒板を使って親切丁寧に教えてくれる。それは黒板に青のチョークと白のチョークを混ぜて使った場合、青が見えなくなる場合と見える場合とがあるのか、といったことである。結論としては、そういうことはあるが、どのみち大差はない、といったようなことである。私は納得し、礼を言う。持ってきたチョコレート菓子の大袋を二袋、「皆さんで召し上がって下さい」と置いていく。看護婦もいる。

一階に降りる。机に置いておいた「手塚治虫キャラクター図鑑」数冊をバッグに回収する。忘れていくところだった。荷物が重い。外に出て荷物を詰め直す。テラス席には猫が二匹いて、うなり声を上げている。非常に機嫌が悪いのか。近くでかがむのは怖いが、気にしないようにして荷物を詰める。

部屋に荷物を置いていこうと思う。道で祖母に会う。祖母は認知症等で療養施設にいるはずなので、「一人で出歩いたりしていいんだ」と驚きながら言う。祖母は十年前くらいの外見で、受け答えが割合しっかりしている。私のことも認識している。祖母は車で送ってくれる。「運転していいんだ」と少し不安になる。祖母は「この地域の人のバスの中での不親切さは度を越している」と愚痴る。私は曖昧に肯定しながら聞く。

京都でいうと百万遍の南西角に私の下宿があり、祖母の家はその南にあるようだ。私は部屋に荷物を置いてから、用事に向かおうと考えている。東大路通りの東側の駐車場に祖母は停め、車を降りて横断歩道を渡る。そこは三条烏丸あたりのようでもある。信号が変わりかけていて、私は斜めに渡る。渡った後の路地で、祖母はいきなり前方にカバンを投げる。黄色い手提げ鞄である。私は驚いて「何で投げたの」と言う。祖母は分からないと言い、カバンを拾う。歩いていくと、前方に港がある。祖母はいきなり走り出して海に飛び込む、あるいは「飛び込んだらどうしよう」と私が心配する。一緒に飛び込んで助けようとするのは危険であると聞く。通報して助けを呼ぶべきだろうが、まだ溺れているわけではないのに、飛び込んだ段階で呼ぶべきだろうか。呼ぼうにも、さっきの横断歩道の住所も分からない。

ふと、祖母は既に亡くなっていることを思い出す。だからこのような心配をする必要はなかったのだ。

弟2号の夢

実家にいる。架空の建物で、リビングを出るとすぐ駅前になっていて、喫茶店がある、という場所。

朝、喫茶店に行こうとすると、弟に似た少年が行き過ぎていくのを見る。その顔立ちは、明らかに別人ではあるが、弟に似た雰囲気がある。服の色のセンスも似ているような気がする。緑色のベストに乳白色のシャツ、青いズボンという組み合わせである。

家に帰ると、先ほどの少年が家におり、「〇〇(弟の名前)2号」として親しまれている。父母と、架空の祖父母のような人がいる。弟2号は宇宙物理か何かの話をしていて、祖父母に「賢いねえ」と感心されている。

僕は動物図鑑を持って喫茶店に行こうとしている。それは、昔の未確認動物などが載った面白そうな図鑑である。例えば、「ドムドム」という名の黒い巨体の動物の絵などが載っている。それは恐らく巨大なタスマニアデビルを誤認したもの思われる。

その図鑑と、もう一冊何かを持っていこうと思い立って本棚を眺めているが、何を思い立ったのか思い出せず、そのままぐずぐずしている。正面から弟2号がやって来る。その顔立ちは年少であり、可愛げがある。しかしよく見ると、顎に無精髭のような質感が見え、大人のようにも見えてくる。再び見ると頭が不自然に膨らんでいるようでもある。小人症の大人とかなのかもしれない?

部室の夢

能楽部の部室。白いケーキにナイフを入れて真っ二つに切ることをしている。「自分では真正面を向いていると思っても、実は体が歪んでいて、真正面ではない」という稽古を思い出し、感覚を補正して中央を捉えようとする。いくつかはうまく切れるが、いくつかでは視覚に頼らなかったせいでケーキに拳をめり込ませてしまう。

稽古中にうとうとしてしまったようだ。部室にいる。定例の稽古ではなく、空き時間に来て自由にやっているようだ。日差しは暖かく、風は爽やかで、のどかな雰囲気は卒業式の後のようである。何となく彩度が高く、理想化された雰囲気がある。これが自分の理想なんだろうなと思う。

でも、この部室は今は廃止されたのではと気付き、「僕の夢だからでしょうか?」と先輩に聞く。返答は無いか、覚えていない。窓の外には緑色の海が見える。実際にはプールがあるはずである。戦隊ヒーローのレッドが二人空中に浮いている。

誰かが入ってきたので振り返って挨拶をする。それはビジュアル系寄りのバンドマンのような男で、背が高く、髪は赤っぽく、スーツをスタイリッシュにしたような紺色の服を着ている。渡されたパンフレットには、読みづらいロゴで「コロムサラ アキラ」のような字が書いてある。何なのか訊くと謂れを話してくれるが、早口でぶっきらぼうで、界隈の文化が分かっていることを前提に話しているようで、さっぱり分からない。

後輩の仕舞の合わせが始まる。足袋ではなくスニーカーを履いており、ジュニアラッパーという感じである。型付けのレベルでうまくいっておらず、先輩がリアルタイムで何くれと指摘するが、これでは到底頭に入るまい。不毛である。(通常は合わせ終わってから指摘する)

夢だから情感を楽しもうと思って窓辺に腰掛ける。絵本のように鮮やかな青緑色のプールが波打っている。その向こうに同じ色の海も見えている。突然海の水位が上がり、プールを飲み込んで打ち寄せてくる。現実には、こんな急に水位が上がる津波だったら、ここにいては助かるまいなと思う。少し怖い。波は激しく高速に打ち寄せるが、水位は一定している。

腕のしびれを感じて目が覚める。

弟の病の夢

実家(存在しない建物や町)。弟が急病にかかり、僕は帰省のついでにタオルケットなどを買っていくことになる。事情で自転車を途中に停めたり、乗ったり、真っ直ぐ進まない。

弟の容態は悪く、全身がむくみ始めている。

母と弟と共に、親戚か誰かの家に着く。そこに医者を呼ぶ手はずのようだ。自転車の在りかについて母にややこしい説明をすると、母が混乱する。

一旦目が覚める。

僕は二階にいる。そこに医師が到着する。母が弟を運び込み、座椅子のようなベッドに寝かせる。弟は顔が赤黒くなり、身体は黄色く青ざめ、非常にむくんで体躯は縮まり、悪鬼のような体型になっている。誰もが危機感を隠せない。弟は苦しそうだが意識ははっきりしており、医師に伝えられることは自分で伝えている。

一旦目が覚める。

そのままその家に泊まり込むことになる。親戚や友人が家に集まっている雰囲気である。ややあって、僕は弟の様子を見に行くことにする。

三階に上がる。弟の横で、医師の先生も横になっている。先生は僕に気づくと起き上がろうとするので、「どうぞそのままで」と伝える。弟の外見はかなり回復を見せており、体躯は元に戻っている。目にも光が戻っている。僕は喜び「いける感あるやろこれ、うん」と言う。弟も笑顔を見せる。しかし肌が透けており、喉の辺りに黒い塊が見えたり、春菊のような野菜が皮下にあるのが見える。持ち直したと聞いて皆がドアから殺到するが、友人が「病人を疲れさせてはならない」と周りを制してくれる。僕は弟の手を取って励ます。

階段を下りながら、これらのことが虚構だと薄々分かっている。

確かな未来の夢

実家。深夜。寝なければならないが、一人まだ起きている。リビングでPCを見ている。たまたまそういうサイトに行き着いたとかの流れで、英語か何かのおさらいをしている。明日は週の始めであり、学校か何かである。曜日を数え、次の休みまで四日か、まあ今週は短くて良かったな、などと考えている。もう午前2時とか4時は回っていると思う。

母が起きてくる。僕はトイレにいる。母は僕が起きていることで怒っているかと思うが、意外にも怒ってはいない。僕はYシャツか何かを着替えてトイレを出る。時計を見るとまだ一時半であり、得した気分になる。

夕食前。母は台所に立ち、弟は何か課題があるらしく、テーブルで紙に何事かを書きながら考えている。僕は気楽に過ごしていて、弟の邪魔をする。

弟は考えあぐね、「やはりここからは泥臭い作業をするしかないか……」などと言っている。僕は、大海に落ちた目標点を目指して泳がねばなるまい、と茶化して、それを絵に描く。

確かな未来

「確かな未来」と名付けよう、と言って絵を提出する。「当てどない徒労」という茶化しだが、雰囲気は和やかである。

硫黄島の夢

実家。弟、母、父が出てくる。

トイレに入ろうとすると弟が先に入る。順番を待つ。父がさらに列に加わる。

確定申告のことで引っ掛かり、母に話す。弟が、右辺がゴルゴ1、ゴルゴ2、ゴルゴ3……ゴルゴ13になる数式を順に紙に書いている。

就活か何かで硫黄島を訪れる。案内者はメガネの女子であり、他何人かで来ている。硫黄島は周囲数百メートルの小島だが、全体が特殊な岩石の砂利で埋め尽くされており、歩くと岩石がカチャカチャ音をたてる。

曇った緑色の岩石を見つけて拾う。

緑色の岩石の塊を見つける。メガネの女子は驚き興奮する。これは一見エメラルドとかではないが、磨けば分からない。何らかの産業になるかもしれない。しかし岩石の総量はあまりなさそうである。

半地下になっている空洞を見つける。そこには円柱状にピンクの岩石を繋げた棒や、マストのミニチュアのような棒状の岩石が斜めに立っていた。メガネの女子は驚き興奮する。これらはスペイン人が残した人工物のように見えるが、鍾乳石のような自然物なのかもしれない。いずれにせよ貴重であり、手を触れて壊せば何らかの犯罪に当たるだろう。傍らにゴルフバッグのようなものが置いてあるが、これは今日別の場所から上陸した来島者が置いているだけだろう。そういえば、こういう島から石を持ち帰ることは違法であるから、さっきの緑色の石も駄目だと気付く。残念だ。

海底のアトランティス遺跡に来ている。キトラ古墳のように、これによく似た様式の遺跡がヨーロッパにあるが、いずれが古いかは分かっていないらしい。

アトランティスの隅っこにあるトイレに入る。

昭和のパレードの夢

保健室のようなところで中学のクラスメイトと授業を受けている。それは女性教師とクラスメイトと僕の三人で簡単なゲームをやるというもので、我々は模造紙を広げて升目を書き、そこにマジックインキで書き込んでいく。最後に点数を足していくが、女性教師は全体的にいい加減で、授業としてもゲームとしてもいまいち成り立っている気がしない。僕は頭が回らず、計算がなかなか終わらない。クラスメイトは誰だか一定せず、さほど親しくないが、悪意もなく振る舞ってくれる相手のようである。どこか台風の日のような感じである。

映画の一コマ。「村に住む○○の父は馬を下知されており、それに跨がって一路旅をする云々」裸で馬に乗る、筋骨たくましいひげ面の男。中世の日本か西洋。辺りは土や岩剥き出しの荒れ地である。男は街外れにたどり着き、水飲み場から柄杓で水を飲む。男は昔のモールのような通りめいた屋内に入っていく。何かの任務を帯びているようだ。

男を追う者たちが現れる。四人ほどで紋付き姿である。彼らはさほど焦っておらず、身内話をしている。格上らしい男が懐から拳銃を取りだし、思わせ振りにチェックする。よもや激して仲間を撃つのではないか。しかし何事もなく、男たちは去っていく。一方、追われていた男は黒装束に着替えて建物から出、旅を続ける。

通りめいたモールに放送が響き渡る。通例のパレードが今から始まるようだ。客は道の端に退避するよう勧められる。ばけものが通りの真ん中を駆け抜けるため、その勢いは黒い獣の如し云々。僕は貧民のようになっており、パレードに喜びながら道の端にもたれる。やがて異様な雰囲気が始まり、狂った馬が道を駆け抜ける。追われていた男の任務はこれに参加することだったのかもしれない。

僕は昭和めいたデートで古いモールに来ており、そこでパレードに行き当たったらしい。パレードは見世物小屋の風情で、病人や身体障害者を異様な者として登場させる代物である。が、あからさまな作り物や安っぽい扮装も多く混じっており、そういう感じである。客はめいめい辺りに座り、パレードは廊下を勢いよく駆け抜けていく。僕は建物の奥に進んでいたため、運よくパレードが出てくる場所に陣取ることができた。パレードは一直線ではないため、ここだけが全キャラを見れるのである。僕は雰囲気に興奮し、来てよかったと同行者に話す。パレードの中のぬらりひょんのような男が、僕の背後にいた子供に「ぬらりひょんでしょ!?」と話しかけられる。ぬらりひょんは口を開かず、自分の頭を指さしたりしてそれっぽく振る舞う。何らかの妖怪が、僕の隣の隣にいる茶髪ボブカットの女に寄ってきて言う。「願ったな、では対価は?」ボブカットの女は持っていた風船を妖怪に渡す。どうやら、心中に願ったことを察知して叶えてくれる類の妖怪らしい。妖怪は立ち去り、女は「パレードでよかったわ。本物なら私は今頃……」とつぶやく。

係の人たちが後片付けを始めている。白い三角巾を付けたパートのおばちゃんたちが、くたびれたテディベアを鉄の骨組みむき出しのリヤカーに積見込んでいる。テディベアは一つ一つ鉄の籠に入れられており、全体として篭の重量の方がはるかに重そうである。おばちゃんたちは昭和風の非効率さをかこち合う。しかし、これがここのフレーバーでありルールなのだ。

僕とデート相手とその友人の女性は道端のテラスで一息つく。そこに皿洗いの女性たちの列が通りかかる。僕は皿を割ったか、あるいは単に彼女らに話しかけただけだが、彼女らの動きにたちまち巻き込まれ、モール内のファミレスへと連れ去られてしまう。このモールには就活生が全く来ないので、働き手を貪欲に求めているのだ。僕は何とか逃げ出し、デート相手の元に戻ろうとする。足が重く歩きづらい。辺りは日曜で、花見の公園のように子供がうろついている。二人は待っていてくれ、何とか合流できた。

帰ってきた弟の夢

Aや何人かとの飲み会があるが、支度をしていない。20時からだったような気がするが既に19時を過ぎていて、遅刻しそうである。しかし時間は決まっていなかったのではと思い、LINE的なものに「決まっていなかったのでは」と書く。直後、ログを見て、21時からということで落ち着いていたことに気付く。「あ、申し訳ない、21:00になっていたな」と書き込む。

場所は母方の実家の二階のようであるが、判然としない。母は出掛けている。自分は先週くらいに風邪をひいていたような気がする。その時、学校から届いたプリントが椅子の上に数枚ある。母は、このプリントが僕由来のものか弟由来のものか分からなくなってしまったらしい。母が帰ってきたらその辺を説明する手間が生じるだろう。

ぐだぐだしていたら20時を回ってしまった。着替えすらできていない。LINE的なものを見ると、先程の自分の書き込みは「20:40からになっていたな」というものになっていた。間違えてその時の現在時刻を書いてしまったらしい。訂正しようとする。

その時、母が階段を上がって帰ってくる。声は明るく、体が何だか細い。

「ただいま、×××(弟の名)が帰ってきたところだよ」

母の体が細いのではなく、母が弟の遺体を抱えていた。僕は咄嗟に理解して

「別人だったということなの?」

と答える。荼毘にふした遺体は別人で、いま本人の方が見つかったということらしい。裸の遺体を母が椅子に座らせる。その体は最近死んだかのように新鮮で、冷たいが、西日を浴びてかなり暖まっている。母と共に遺体を抱き締めるが、強烈に「そんなはずはない」という理性がはたらいて、続きが気になりながら目が覚める。

弟の熱の夢

小学生の時住んでいたマンションにいる。

北欧かどこかの神話の本を読んでいる。マリオ3のゲーム画面が挿し絵として冒頭に置かれている。おそらくマリオ3の表現に北欧神話の影響があるということなのだろう。ノコノコにおにぎりを食べさせて巨大にし、その甲羅を使う無限機アップ方法の動画が流れる。

弟が高熱を出し、その状態のまま外にふらふら出ていったらしい。僕と母が後を追おうとすると、母の携帯電話に弟の担任から電話がかかってきて、足止めを食う。僕は電話が終わるのを待たず、弟を追ってマンションの廊下に出る。

眼下の広場では大勢の子供が遊んでいる。弟の姿は見当たらない。母が追い付いてくる。下の広場に弟のカバンが落ちていたらしい。

僕は自分の携帯電話を持たずに出てきたので、母と連絡が取れるようにしておきたいと思い、いったん部屋に戻ろうとする。母も一緒に来る。エスカレーターのように上に登っていく。ピアノの楽譜が空中を流れていく。その楽譜は、「悪さをした子供が死の罰を受ける」というような内容の、教育としては野蛮な、古い童謡の楽譜である。

弟は死んだのだから探しても見つかるはずがない、と思い至り目が覚める。