歯がどんどん抜ける夢

1月8日の夢

弟とふざけ合う。母に早く起きなさいと言われる。敷布団にかけてあるシーツの水色の縞模様が、強烈にうごめいて感じられる。強烈な眩暈で立つことができない。

歯が抜ける。指で取り出して机に置く。抜けた歯は粉砕しており、破片が沢山出てくる。その後も、砕けた歯が口からどんどん出てくる。紅生姜のようなピンク色に染まったものや、真っ赤になったものもある。それらを机に並べる。

そこはかつての秋田の実家の居間のような場所と机である。実際よりも一回り大きく、また他の部屋より一段沈んだ空間になっている。

歯を並べているうちに、この感覚はどう考えても現実であるが、もしかしたら夢かもしれない、と思う。抜けた歯をとっておきたいのに、夢だったら勿体ない、と思う。それぞれの歯には小さなシールやカードが付属しており、それらは艦これの絵や、昔どこかでみたような絵、ポケモンの下敷きの一部分、サイボーグのサイ子ちゃんなどである。破片はまだ出てくる。抜けた奥歯には、根っこの方に繰りぬかれたような円い穴が空いているものもある。

別の画面に動いてから再び居間に戻ると、そこは初代ポケモンのゲームボーイ画面である。これはバグ技だったのだ、とオーキド博士が明かす。やはりそうだったのか。博士が続いて実演してみせると、戦闘画面がバグる。

場面が変わり、歯の破片を取りながら外を歩いている。スーツを着ている。ビルの中に入る。営業か何かの用事があるらしい。建物内の立体駐車場を歩く。前を二人の婦人が歩いている。警備員に咎められたりしないか、心配になる。最終的に一階に移動し、前職の上司と合流する。その間、抜けた歯を荷物置き場のような台に置いておく。ホテルの部屋のキーのようなものも持っており、それも一緒に置く。

赤黒モヒカンの夢

ゲーセンか自習室の一日入場券として、緑に塗られたコインをもらう。

架空の実家。弟がチョコバーを配っている。色とりどりのメタリックカラーの包装紙に包まれたやつ。昨日のコインも混じっている感じだ。Eが遊びに来る。Eと弟は馴れ馴れしくやり取りして、チョコをやり取りする。

アニメの第一話。カムヤライドの怪人に襲われる少年カミムラは、窮地を助けてもらい、事情を説明する。しかし、みんなは職員室でポテチなどを食べていて、聞いていない。キルラキルのノリ。少年を助けた組織は軍産複合体の陰謀団モナークで、彼らはカムヤライドを追ってはいるが、必ずしも人類の味方ではない。

ルイズ編集長(外見は自分の短編に出てくるアンデッド少女、性格は魔女王の娘ルイズ)に連れられて、出版社のオフィスに敷かれた布団でいちゃつく。それは私の中のエヴァンゲリオン的なシンクロを引き出すためであり、それによって私の視界は、二つにぶれていた状態から一つに重なってモザイク状の視界となる。編集長の太ももに腹を挟まれており、じんわりと重たく、痛い。そのことを訴えると、編集長は楽しそうである。周りは写真を撮ったりして見ている。

いとこが実家に来ている。マンション時代の実家である。私は寝坊した。起きると雰囲気が慌ただしい。エミリーなる少女が見えなくなった、などと聞こえる。それを探しに出たのか、家の中には祖母だけが残っている。下の駐車場には、MTGでいうと赤黒っぽいモヒカンが大挙しており、今しも攻め込まんとしている。モヒカンは入り口側の廊下にも既に走っており、このマンションは孤立したのかもしれない。ベランダで、モヒカンの少年あるいは博士あるいは少年博士と、阿笠博士が話している。モヒカンの博士は敵ではないらしいが、虫の息である。阿笠博士は「遺体をミイラ化しなくていいのか?」などと訊くが、モヒカンの博士はいらないと言う。やがてモヒカンの博士は、暗号によってロックのかかった小瓶を我々に託して息絶える。その瓶こそが敵の狙いなのかもしれない。博士の死体は既に乾燥して角ばっている。

家の中に敵モヒカンが入ってくる。瓶は奪われたのかもしれない。その中身は紫色の粉末であり、それが体内に入ると自我が崩壊して不死身になるらしい。敵モヒカンは既に粉末に支配されており、謝りながら粉末を飲ませようとしてくる。「すまない、死だけは免れるから…」などと言っている。

タタミとヴィトゲンシュタインの夢

90年代とかのドキュメンタリー。ウルトラセブンと当代人気のテレビまんがが一堂に会するような、節操のないコラボレーションの誇りを逆に知れ、という旋風が業界をめぐる。それによって絵柄の流行が起こる。研究された漫画の中に、りぼん掲載分ではない昔のあさりちゃんが含まれている。(現実のあさりちゃんはりぼん掲載ではない)

タタミが屁に火をつける場面。昔のあさりちゃんだから掲載可能なコードが違うな、と思う。タタミが美少年の股間に頭をぶつける場面もある。どういう理由でか、必然性があって、タタミはそういう発想に至ったらしい。一般的には下品な行いだが、大義があってしているようだ。

しかし、少年時代のヴィトゲンシュタインは下品であるといってこれを拒む。ヴィトゲンシュタインは、「どろろんぱっ!」に出てきたヴァン・ヘルシングのような造形の、黒髪くせ毛の生意気な美少年である。タタミは赤面しつつも激高し、その場の思い付きを並べ立てて、正当性を主張しようとする。最終的に「大人の女には明かせない秘密があるのよ!」とかなんとか言ってごまかす。

この出来事は若きヴィトゲンシュタインの心にインパクトを残す。やがて成長した彼は、占術によってあの時の少女の正体を突き止めようとする。しかしタタミはタイムスリップで来ていたので、本人の所在は突き止めることができない。

最終的にヴィトゲンシュタインはある種の悟りを得、あの少年の日に見たタタミが美しかったことから、「女は思い出の中が一番だ」というような皮肉めいた名言を残す。この言葉は一般に知られているのと違う実情に基づいていた、というオチ。(現実にはそんな名言はないと思う)

その日を境に、ヴィトゲンシュタインは幼い日からの心残りがなくなり、雰囲気の刺々しさが和らぐ。友人に「何かあったのか」と言われるほどである。彼が偉大な仕事をなしとげる準備が整ったのである。彼はこれまで神学の教師を激しく論破したりして過ごしており、その能力もあったが、もはやそのような闘争に明け暮れることはやめ、馬に乗って旅に出る……。

ジョーが死んだしるしの夢

酒場のカウンター。バーテンの位置にいるジョーが、その場にいる二人に、自分が死んだ場合に起こるしるしについて話す。ジョーは主人公の手を取り、自分のシャツの胸ポケットに当てながら語る。そのポケットにはパッドのようなものが入っており、そういうデザインの服である。みな西部劇のガンマンのようである。主人公は新入りのチンピラである。その後、ジョーが言ったとおりのしるしが起こる。しるしによってジョーの死を知るものは、あの場の二人の他にいない。知ってしまった以上、主人公は名誉にかけて、ジョーの死のいきさつを突き止めなければならない。

別の場面。ハードボイルドな主人公は、陰謀家の妻に反目される。主人公の長年の親友は、妻に惚れているか忠義を抱いており、覚悟をもって主人公に敵対する。親友は「すごく速く動く」というだけの能力を極限まで活かし、主人公を殺害したかに見える。しかし主人公は「透明になれる」というだけの能力を極限まで活かすことで、妻と親友を欺き、これらを殺害する。そこは小さな惑星の野原のような、決闘のための場所である。

親友の亡霊のようなものが、「近代性を取り入れなければ、こんな場当たりなだけの小説はすぐに行き詰るぞ」と警告してくる。私はうるせえなと思いながら、雑然とした広いトイレで用を足す。

寿老人のARの夢

大学に通っている。単位が足りない。

広い教室で、仮面ライダー鎧武の鳳蓮が講義をしている。「楽に構えないと何事も入ってこない」というようなことを言っている。私は非常に眠く、身体が重たく、長椅子に横になってしまっている。全精力を傾けて起き上がろうと試みる。

バレンタインデーか何からしく、学生たちはお菓子を出している。左の女性と前の席の男性と「全員、友達の友達くらいの距離感か」と言い合って、その場をつくろう。(右は通路)

次の講義も同じ教室らしい。6回目らしいが、初めて来たと思う。単位の観点からは望み薄だ。左の席に40代くらいの男性が座り、プリントを見せて欲しいと近寄ってくる。承諾するが、右の通路に荷物や物を落としてしまい、身をかがめて拾おうとする。荷物が妙に多く、手間取る。

旅行先で寿老人の漫画を描く。タブレットに風景を映し、その風景にレイヤーを重ねて描いているようである。秋空に寿老人を描く。それは煮干しか何かの値を吊り上げて大儲けする説話で、寿老人の妻が最後に大慌てするコメディ・リリーフになっている。

寿老人のARを作ったことになっている。旅先に吊るしてある、鍋敷きほどの大きさの、焼き物の太鼓のような道具がパッドになっている。それにペンを這わせると、宙に浮かんだ寿老人の角度が変わる。タッチすると別のモデルに切り替わる。とっくりから酒が注がれるアニメーションなどもある。カメラで撮っておこうと思うが、自分のスマホはARのために使っているわけなので、Gのスマホを借りようとする。

頭の中の街の夢

「魔法使いのアトリエ」のココとキーフリー、その他のようなパーティが街を探索している。街は遺跡のような無人の街であり、灰色の四角い建物が立ち並んでいる。シミュレーションのようでもある。

この街はココが頭の中で考えている街であり、街の構造を思い浮かべることで、リアルタイムでそのように構築されていく。危険な街でもある。ココは必死で安全なルートを思い浮かべるが、常に予想外の要素がパーティを脅かす。

アル中の仲間がはぐれる。

モンスターの群れを倒して真鍮の剣などのアイテムを集める。

敵の軍が隊列を組んで巡回しており、パーティは建物の上階に隠れる。仲間だったはずの赤鬼の娘が裏切り、敵の軍に混ざっている。その鬼の唯一の友であった鷹だけが、赤鬼に付きまとっている。赤鬼にとっては、敵に与していたことが露見する恐れがあるから、このままでは射落とされるだろう。

雨が降っており、状況は厳しい。「先程の剣のうち、せめて半分でも真鍮の剣であればよかったのだが」とキーフリーがいう。「街は、自分に対抗しうるアイテムを隠して、ドロップさせない」ともいう。街そのものが意思を持っているのだ。今しも、敵の司令官クラスがこちらの方向を睨みつけている。まさか我々の魔力が漏れていて、それを探知したのか。

場面が変わる。現代。晴れの昼間。私は自転車を漕いで、オフィスからいったん家に寄る、または帰宅している。自転車置き場で、鼻歌をうたうおばちゃんとすれ違う。

自転車置き場の地面に、スーツケースが一つ投棄されている。それに大量の銀蠅がたかっている。私の自転車カゴの中にも、ゴミのような小箱があり、それにハエが寄ってきている。私はそれを捨てる。しかし、それはスマホの外付けバッテリーであることを思い出し、拾わなければと思う。スーツケースの近くに落ちたので、恐る恐る近寄り、回収しようとする。スーツケースの中身は死体ではないだろうか。

邪魔な子供の夢

電車に乗っている。私は目を閉じて寝ている。EとKの声が聞こえたので「E?」と口に出してみると、はたして本人たちだった。見事な的中だったので「こわっ」と言われる。我々は同行することにする。

駅から出て、雑踏を歩く。高校球児たちが立ち並んでいて、進路を塞がれ、私だけはぐれてしまう。

視点が宙に浮いて彼らを追いかける。

デパートの2階か3階が大きなベランダのようになっていて、外に開けている。そこに靴屋のテナントが入っており、エスカレーターも半ば外に面している。そこから合流しようとするが、エスカレーターには人が大量に並んでおり、割り込むことができないほど混雑している。仕方ないので、シューズが並ぶ棚の上の方に手をかけてぶら下がる。不思議と疲れずにぶら下がっていられる。能楽サークル時代の男性の後輩がたまたま横にいる。エスカレーターの列には、上半身が裸の人物が偏って多くなってくる。その後、頭髪のない人物、カラフルなカーラーを頭に付けた人物、などでも同じ現象が起こる。

ようやく空いてきたので、上の階に上がっていく。しかし最上階に繋がっているはずのエレベーターが見当たらない。道なりに行くと隠れてしまう場所に、隠しエレベーターがあるらしかった。そこまで急いで戻る。エレベーターには先ほどの後輩と知らない女性とが先に乗り込んでおり、私が乗る前に発進してしまう。

既に午後十時くらいになっており、早く合流せねばと焦る。するとEやKが上から降りてくる。Eは黒いスーツの上に緑の派手なストールを付け、その上から蜘蛛の巣のような白いよく分からないヴェールをかけている。実際に蜘蛛の巣なのかもしれない。曰く、この店はつまらない演出ばかりが充実した店で、無駄に高いと。全体で五万もいったという。

場面は変わり、私は夢のメモを取ろうとして、紙と鉛筆を持ってデパートをうろついている。机はあちこちにあるが、どれもイートインの類であり、サービスの利用者しか使えない感じだ。

ついに自由に使って良さそうな机を見つける。それは3段ほどの大きな棚のような机で、好きな段に登って利用してよいのだった。私は一番上の段に上り、寝そべった姿勢で紙に書き始める。同じ段に、2~3歳くらいの子供がひしめいていて、こちらの手元に歩いて来ようとするので、邪魔である。その都度手でよせる。特に邪魔をしてくる子供がいるので、下に突き落とす。それは顔に白い刺青のような模様のある、浅黒い肌の女児である。そのクローズアップとともに、頭が地面にぶつかる「ドン」という鈍い音がする。

結局、私の方が追い出されてしまう。その後、同じ場所に戻って来ると「上に登らないでください」という表示がされていて、そこには誰もいない。

医師の能面の夢

百番集がもう一つ出てきた。得な気分。

医師の能面を自作する。髪の毛付きである。イメージを作るために、白衣を着た胴体部分を服か何かで作って、その上で作業する。童子ベースで痩せ男を組み合わせたような顔である。作業中は仮の目玉を裏側から入れてある。顔は完成し、あとは本番の白目を裏から入れればよい段階になる。

壁には他の能面がいくつか掛けてある。最近引っ越してきたので、とりあえず適当に掛けたものである。最近人からもらった「疑い般若」などの珍しい面がある。その「疑い般若」が、ちょっと目を離したすきに、掛けた場所が動いている。

その壁の前に長机が置かれ、会議が始まろうとしていた。参加者はみな碩学であり、机には百番集っぽい古本が沢山置かれている。

本をぱらぱらとめくる。その内容は、己を茨城童子と思い込んだ少年による明治~大正あたりの非行記録や、戦前のイラスト、あるいはフランケンシュタインの挿絵付き本などである。

会議はなかなか始まらない。近くにいた若い女性が「会議、特に始まるとかの区切りは無いんですか?なるほど、大学に来た実感が出てきました!」というようなことを言う。

クンスト(狐)カードの夢

あさりちゃんのような、かわいい絵が期待される古めの漫画がある。それを読む。

露悪寄りの刺々しい漫画を読む。娘がその母を「そんなことも知らないのか」といってこけにする内容。母「顔が箱みたいになってる仮面ライダーを観たよ」娘「いつのだよ」その後、母が古いメディアからゲームプレイ映像を取り出す趣味を持っていることが分かる。スターフォックスのようなプレイ画面である。それはTとVの対戦動画をTがtwitterにアップしたものである。50年代のメディアを押さえているとはさすがにTだ、と感心するが、よく考えるとリアルタイムではありえないので、後から捕捉したものだろう。

弟の部屋で話している。マンション時代の部屋のようだが、少し違う。弟の全てにやる気がないという話に対して、「そういう話は珍しくないことだ」と相対化する。

弟がクンスト(狐)カードというものを紹介する。それは現存しないゲームだが、レシピはあるので、紙と鉛筆でカードを作れば遊べるという。レシピは弟がわら半紙に書いたものが、古い本の表3ページに貼ってある。

それとは別のゲームをプレイしようとする。部屋には音楽が流れており、その音量を落とそうとしてミキサーと思われる部分のつまみを触るが、うまく操作できない。かえって大きくなってしまう。2チャンネルあることに気付いて、チャンネルを切り替えるが、その後も上手く操作できない。

後に、弟が再びクンスト(狐)カードをやろうと言ってくる。

PCデスクの下の段に本置きがあり、電子書籍の本棚頁のように、本が表紙を見せる形に置かれている。そこには私のお気に入りが置かれているが、既に別のところに移したので、今はあまりない。

弟が源氏物語の和訳を母に渡している。母はデスクの前でノートPCを触っている。操作に関して、母が弟に質問し、弟はそれを受けて操作する。そこに私が出て行くと、弟がすっと退く。「人前では甘やかさないようにしているらしい」と私が茶化すと、父が笑う。画面にはポケモンパンのシールの図柄のようなものが並んでいる。

春のワルツの夢

山が登場する。裏山のような小さな山である。登山練習コースのようなものが敷かれている。

ドラゴンボールのクリリンの原画か何かがショップに出ているという。それはドラゴンボールの原画展の後、回収されずに忘れられていた絵を、さる西洋人が見つけ、展の運営元に返却を申し出たところ、あろうことか「オークションに出してください」という指示を受けたためであるという。

オタクグッズのショップでは、他にもドラゴンボールの「どんつくどどんぱシール」といったような名前のシールが話題になっている。何でも、そのシールを玄関先に貼っておけばドラゴンボールのファンであるということが伝わり、泥棒が入らない、という話が流布しているらしい。そのためシールはどこも売り切れで、ショップ側は「この店になければどこにもないですよ」などと言っているほどだ。

何となく、ショップを見ていくかという気になり、ショップに入る。一階はとばしてすぐ二階に上がる。一階に積まれているプラモが見える。二階に上がると、そこは図書館や自習室のあるロの字型の廊下である。学校とも繋がっているらしい。学校のエリアはガラスで遮断され、入るには入場証が必要なようだ。

その手前で、妙に露出の多いマッチョな男がいる。上半身は薄っすら透けた黒の肌着を着て、下半身はパンツ一丁だ。それに対し、金髪の女性が楽し気に対応している。周囲や学校エリアの中にも、外国人らしいマッチョな男たちを何人も見かける。今日はマッチョ・デーとでもいうような行事の日らしい。

外に出る。風が強く、ワルツのリズムに合わせて体が飛ばされ、くるくると回転しながら動いてしまう。BGMで「美しく青きドナウ」が流れている。それに合わせてそこらを歩いていく。春めいていて、大学と自然公園が混ざったような場所である。

いつしか山にいて、風に飛ばされながら宙に浮いて移動している。川の横の土手を飛ばされながら進んでいく。川の方に飛ばされたら一大事であり、実際一回飛ばされそうになるが、無事に済む。風に飛ばされながらの移動は、ウインディングと呼ばれるスポーツにもなっているらしい。だが、今日のような冬の日に、装備もなしに素人がやるのは危ない、とおっちゃんが教えてくれる。言われてみれば、道端には雪が溶け残っている。縁日のようなテントと人手の間を歩いていく。「美しく青きドナウ」はずっと流れている。