広くておしゃれな、美術展のような古書店に来ている。今日はセールか何かなのか、客が多い。そこはデッサン塾の先生が副業で運営していて、何かと試みているようだ。ふと棚を見ると日英対訳聖書が色々あって、欲しくなるが、棚が高くて手が届かない。
広い待合室のようなエリアに移動し、座る。そこで惣菜パンを食べながらゲームか何かをする。他人の少女が辺りをうろついたりしている。
誰かが横スクロールゲームをやるのを横で見ている。そのゲームは難しそうで、プレイしている人は上手い。しかしやがて敵にぶつかって死に、そのステージの初めからやり直しになる。
父と母と弟と旅行をしている。雨の中、駅で足止めになる。電車が動かないようだ。うどん屋や喫茶店は行列ができており、狭い待合室で座って待機することにする。
すぐ横に窓があり、そこから外を見ると、中くらいのビルが並び立つ商業エリアである。急に、照明を落とした時のような感覚がして、一つのビルの窓から明かりが全て消えた。
「停電かもしれない」
と呟く。一つの建物の明かりがまとめて消えるというのは、大元の供給が断たれたことを意味するように思える。恐らくこれから周囲の建物の明かりも消え始め、今いる駅も停電するだろう、と思えた。
しかし、そうはならなかった。周囲の他のビルでは電気が消えたりついたりし始め、異常が起きているのは確かだが、単なる停電ではないようだ。目に入る範囲のビルでは電気がめちゃくちゃに明滅し始める。珍しい光景なので、スマホで動画を撮ってみようと思いつくが、やってみると上手く操作できない。
弟はゲームボーイで何かしている。僕は描きかけている漫画のペン入れをボールペンでやっている。紙皿にお菓子が乗せられ、向かいの女性を経由して回ってくる。それはキャラメルのような飴のようなお菓子だが、特に食べたくないので断る。
疲れ切っていて、この後の旅程が思いやられる。何時間かバスに乗る予定だと思うが、そのバスも混むだろう。
行列が解消され始め、うどん屋の店内に通される。中はガラガラで、行列が出来ていたのは満員だったからではなく人手が足りないからのようだ。席に座り、僕は紙に「腕時計をはめている手」を描く。しかしこうしてボールペンで描いていても、そのままペン入れにできるわけではないから手すさびだな、と思う。
父と母と僕はテーブルに色々なパンフレットや書類を広げる。弟はゲームボーイを続けたいからと、席には付かず、壁際のベンチに座っている。テーブルを片付けて弟のスペースを空けると、弟が席に移ってくる。父が「仕事関係でデッサン塾の先生によく会う」という話をする。
雑誌の記事。モン・アミが名言を言っている。モン・アミは黒人の名俳優であり、頭頂部は禿げていて、耳の上周辺にだけ白い髪がまとまっている。すっきりとした細身の長身で、色付きのYシャツを着、若く見え、フォーマルで知的な雰囲気をたたえている。顔つきは白人的で、印象はあっさりしている。
挿絵とアメコミの中間のようなページ。ニット帽を被って緑のジャンパーを着た黒人ヒーローが描かれている。ヒーローは悪党に捕まってリンチを受け、「笑ってみろ」というような嘲りを受けて「ニッ」と笑う。その片目は白いガーゼの眼帯で塞がっている。「おい、それは『ニッ』の笑いじゃねえか」と悪党は憤慨する。それはヒーローの心が折れていないことを意味する。このヒーローはスペースコブラのようにタフだが、目覚ましいアクションやスタイリッシュさが売りなのではなく、暴力に笑いをもって抗するような精神的な強さが特徴なのだ。ヒーローはやがて、自転車に乗って去っていく(窮地を脱したことが暗示される)。
僕は雑魚寝のような場所で目を覚ます。足止めを食ったまま、駅で一夜を明かすことになったようだ。ただちに夢を思い出しながらメモを記そうとする。
「マチュラン・ピカールとその妻と旅
彼はいう『努力が肝要』
なぜか苛立たしい」
ここでスマホが落ちる。電池切れだろうか。辺りに充電器がないか探す。